栞を挟むように。Ⅲ〈WN〉 (ページ36)

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泡。ページ36

You side

『ちなみに推しはどちらの方で？』

SY「ん？ドギョム。えっとね、こっちのビタミンスマイルの子。」

うん。わかってる。一緒にもんじゃ食べたことあるし…。

ゆっくり深呼吸をして、覚悟を決める。

『韓国に引っ越した理由なんだけど、』

SY「うん。」

『もう片方の』

SY「ちょのぬ？」

『そのウォヌさんとお付き合いしてて、同棲はしてないんだけど仕事も区切りがついたし近くにいたいなって思って。』

SY「え………」

絵に描いたようにフリーズしてる小夜。そりゃそうだよな、私だっていまだにびっくりしてる。

SY「じゃあ、今ウォヌくんに電話してって言ったらできるの？」

『できるけど、今カムバ中だから……』

どうしよう。

SY「そうだね……カムバ中だね……」

何かを悟ったような顔をする小夜。

SY「学生時代、流行りのアイドルにもアニメにも興味がなくて本ばっか読んでたAが今頃アイドルに目覚めて虚言を言い出したとは思えない。」

……その通りでございます。すごい言われようだけど。

小夜にはいつか紹介しようと思ってたから、出会ってから今までをかくかくしかじか説明する。

SY「じゃあ、ドギョムにも会ったことあるの？」

『ある。』

SY「ホシくんにも？」

『うん。』

SY「スングァンにも？」

『うん。』

……ブソクスンだね。

小夜がこれ以上疑いようがないとでも言うように特大ため息を吐く。

SY「向こうに恋人がいるんだろうなとは薄々思ってたから、そのうち韓国旅行に行って、その面見てやろうと思ってたけどさ。」

その面が推してるグループのメンパーだったら泡吹いて倒れそうだね……

『黙ってたこと、怒ってる…？』

SY「……怒ってないよ。バレたら大変な世界なのは知ってるし、簡単に話していいことじゃないから。」

『ありがとう、小夜。』

SY「ただオタクとは言え親友の旦那となれば別だよ。ちゃんとチョンウォヌがAのこと思ってるか確かめに行かなきゃね。」

『旦那じゃないってば。』

SY「まぁでも韓国に呼ぶってことはそこまで考えてるってことでしょう。はぁ、私のかわいいAを韓国に連れて行きやがってムカつくちょのぬ。可愛がるのはディノたんだけで満足しなさいよ。」

……推しグルだよね？

あんたのために買ってきたんだからとケーキを先に選ばせてくれて、小夜のこういうところが好きだなと思う。

ウォヌくん、娘は嫁にやらん系の父はいないけど親友がいたようです。頑張ってね。