栞を挟むように。Ⅲ〈WN〉 (ページ30)

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寝癖。ページ30

WN side

想定外のスタッフに捕まってて時間をロスした。Aのことはジョンハンが迎えに行ってくれて、練習室にいるらしい。

大男たちに囲まれて困ってるんじゃないかと思って急いで向かう。練習室に入ると俺が来てることに気づかずにボノニと話してるA。

JH「結構盛り上がってるみたいだよ？あの二人。」

エセ天使が耳元で囁いてくる。

「まぁ、いいんじゃないの。」

余裕を装って言ってみるけどジョンハンに通用するわけなくて、

JH「ふーん？気をつけなよー、シュアやディノよりある意味たち悪いじゃん？」

俺が誤魔化そうとしてたもやもやを逆撫でしてくる。

「ごめん。遅くなった。」

俺が来たのに近づくとAはぱっと笑顔になってシューズケースを渡してくれる。

『おつかれさま。はい。忘れもの。』

「ん。ありがとう。」

『寝癖直さずに行ったの？笑』

「見えないし、A寝てたじゃん。」

『寝癖くらい自分で直してくださーい。』

めんどくさいもん。とちょっと拗ねて見せると背伸びをして俺の寝癖を押さえつけるA。Aに触れられるとさっき生まれたもやもやがだんだん小さくなっていく。

「今日遅くなるから、家帰るね。」

『……わかった。』

Aが来てって言ってくれたら何時でもAの部屋に帰るのに。Aはわがままが言えないし、今の俺はちょっと意地悪だから行ってあげない。

HS「よし！練習始めるぞー！」

『じゃあ、失礼しました～。みなさん練習頑張ってください！』

じゃあねーまた会おうねーとメンバーそれぞれが手を振るのに目と手が追いつかないというように四方八方にお辞儀をしながらAは帰っていった。

DN「なんかA可愛くなった？」

「……いくらディノでもそれは聞き捨てらならない。」

DN「あにあにー、ウォヌヒョンといる時間が増えて幸せそうだなってこと。」

そうだとしたらうれしいんだけど。

振り入れをして、一旦休憩。

A今日、遅くなってもいいからこっち泊まってほしいです。

わがまま言うときは敬語になっちゃうところとか可愛くて仕方ない。返信をせずに不安を煽ったら怒られちゃうかな。心の底に仕舞っておいたはずの悪戯心が暴れる。

WZ「…一人でニヤニヤすんなよ。」

「うちの子猫が可愛いもんで。」

WZ「あーはいはい。」