栞を挟むように。Ⅲ〈WN〉 (ページ29)

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くま。ページ29

You side

ウォヌごめん。玄関にシューズケース忘れてない?練習に必要だから事務所まで届けてくれたら助かる。

靴箱の下に追いやられたシューズケースを持って、引越し初日にウォヌくんと挨拶をしに来てから初めての社屋に来た。

『……ウォヌくん、いない。』

バレないように駐車場にある入口で待っててって言われたのにウォヌくんが来ない。警備員さんに聞いたってサセンだと思われて追い払われてしまう。どうしよう。ウォヌくん助けて。

JH「Aちゃん！おいで。こっちこっち～。」

奥の方の扉から手招きしてくれるジョンハンさん。

JH「ごめんごめん。ウォヌがスタッフに捕まってて。とりあえず練習室おいで。」

『え、あ、私が入っていいんですか？』

JH「ふふっ、大丈夫だよ～。みんな会いたがってるからさ？」

すごい緊張する。エレベーターを降りると漏れ聞こえてくる男の人たちの声。

JH 「Aちゃん連れてきたよーん。」

『お邪魔します…！』

広い練習室に10人くらい座ってて、まだ全員はいないみたい。ひとり駆け寄ってきて、1メートルくらい離れたところで急ブレーキするつり目のお兄さん。

HS「あの、えっと、クォンスニョンです。会うのは初めてだよね？」

『ご挨拶遅くなりました！古川Aです。』

HS「よろしく……！」

……ホシさんだよね？YouTubeで見てたときとなんかイメージが違う。いつもはっちゃけてやはー！って言ってる人だよね……

JN「ホシは意外と人見知りなんだ～。そのうちすぐ慣れるから。」

DK「Aちゃん来るからって張り切ってたのに笑。」

あ、なるほど。どれかの動画でチラッと聞いた気がする。皆さんそれぞれと挨拶をして、ジョシュアさんが出してくれた椅子に座ってウォヌくんを待つ。

VN「ウォヌヒョン、遅いね。」

すっごい綺麗な顔をしたお兄さんが隣に座る。

『何かあったのかな。……ねぇ、直接会うの初めて？』

VN「あ、そうかもしれない。そうだね。」

二人で顔を合わせて笑う。通話で何回も話してたとはいえ、初対面でこんな自然に話すことある？笑

ネトフリで配信開始したあれ見た？そういえばあの監督の新作がさ、っていつも通話で話してることを対面で話す。