栞を挟むように。Ⅲ〈WN〉 (ページ26)

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幽霊。ページ26

WN side

頭が重たくて、喉が熱を持ってる。体が強い方ではないから年に1,2回は風邪を引く。季節の変わり目にまんまとやられた。

MG「うぉぬひょん、大丈夫？今日ダンス練習だけだから無理して来なくていいって。休みな？」

「うん。ありがと。」

熱があるって言ってから尻尾が下がった犬みたいだったけど、俺が休むって言ったらだいぶ安心した顔になった、わかりやすいやつ。

ミンギュが仕事に行って、このままもう一眠りしようと思って目を閉じるけど眠れない。昨日の夜は遅かったから家に帰ってきた。熱があるとなんでこんな寂しくなるんだろう。
10分くらい無駄に寝返りを打ってると玄関から鍵の開く音が聞こえる。ミンギュとは違う足音と洗面所の水道の音が聞こえて、足音がこちらに近づく。そーっと開くドアに思わず寝たふりをした。

『……毛布落ちてる。』

いつのまにか落ちてたらしい毛布をよいしょよいしょと掛け直す声が可愛くて、首元に来た手首を掴む。

『ウォヌくん、起きたの？しんどい？』

「なんで来たの。」

弱ったところを見せたくなくてぶっきらぼうな言い方になってしまった。

『ミンギュさんが、ウォヌくん熱上がりそうだけど一日ひとりにしちゃうからって。』

さっき合鍵預かったって、あの馬鹿Aに移したらどうするんだよ。

「移っちゃうかもしれないから帰りな？」

『風邪が移るより、このままウォヌくんを置いていく方がつらい。眠れそう？何か食べて薬飲む？』

「……喉渇いた。」

『うん。飲みもの取ってくるね。』

母親が幼い子どもにするように頭を撫でながらいろいろ聞いてくれる。なんかAがすごい楽しそうなのは気のせい？

『コップで大丈夫？ストローもあるけど。』

思ってたより熱が上がってたみたいで上手く起き上がれないから、ストローを挿してもらって飲む。

『いっぱい飲んでいっぱい汗かいたら下がってくると思うから。』

タオルで巻いた氷枕を敷いてくれて、サイドテーブルにストロー付きのポカリを置いてくれる。いたせり尽せりだな。

「ありがと。」

『お昼ごはん何食べたいか考えといてね。』

「うん。」

みんなに迷惑をかけたことに罪悪感を抱かないように別のことで頭を埋めようと気を回してくれている。

『じゃあ、ちゃんと寝るんだよ。私、リビングにいるね？』

そのまま安心して眠りに落ちた。