栞を挟むように。Ⅲ〈WN〉 (ページ22)

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スニーカー。ページ22

You side

韓国に引っ越して早2週間。今日はオンラインでインタビューを受けて、週刊連載のエッセイを書いた。18時。そろそろ夜ごはんの準備をしようか。

ｶﾞﾁｬｯ
「ただいま。」

『おかえりなさい。』

……同棲してるわけではない。私が住んでるのはウォヌくんと同じマンションの狭い部屋。最初ウォヌくんは同棲したかったらしいけど、週刊誌対策ともうすぐ兵役に行っちゃうのにウォヌくんのものだけがある家は耐えられないという私のわがままで、とりあえず一人暮らしをすることになった。

たしかに合鍵は渡したけど、毎日うちに来ていいとは言ってない…

『夜ごはん食べて帰るの？』

「泊まっちゃダメなの？」

後ろから抱きつきながら、顔を覗き込むウォヌくん。その顔されてダメって言えるわけないじゃん……

『いいけど、ベッド狭いよ？』

「だから、俺はダブルにしようって言ったじゃん。」

……だってこんな泊まりに来ると思わないじゃん。ひとりでダブルで寝るのは寂しいんだよ。

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ
『はーい』

オートロックを通らずに来れるのはこの人一人。

MG「筍いっぱいもらったから、お裾分けしに来た。」

『わー！ありがとう。うれしいです。』

MG「……ヒョンいるの？」

玄関にあるウォヌくんのスニーカー。

『いますね……』

「なんだよ、ミンギュ。」

聞いていたのか私の頭の上に顎を乗せるウォヌくん。

MG「Aちゃんの仕事の邪魔になってるなら連れて帰ろうかなって思っただけ！」

『ふふっ、今日の分は終わってるから大丈夫です。』

「だってよ。帰れ帰れー。」

MG「じゃあまたね、Aちゃん。」

『はい！』

リビングに戻ろうとするとそのまま引っ付いてくるウォヌくん。

『泊まるなら、先にお風呂入っちゃって？』

「Aと一緒に入りたい。」

『もー』

嫌なふりしときながら私も満更でもない。料理をしながら、ウォヌくんとカウンター越しに話す時間が好き。

「あ、それ、俺が好きなやつ作ってる？」

『そうだよ～』

「うれしい。」

その顔が見れるから、何回も作っちゃうんだよ。

『ウォヌくん可愛い。』

「そう？」

『うん。ウォヌくんも分かりやすいよ。』

「今日ドーナツ買ってきたよ。」

『え！ほんと！？』

「ふはっ、Aの方が可愛い。」

……はめられた。