栞を挟むように。Ⅲ〈WN〉 (ページ3)

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右手。ページ3

You side

一気に安心して、ウォヌくんに甘えてしまう。

ウォヌはずっと私の手を握ってくれてて、私が興奮して韓国の書店の話をするのをニコニコして聞いてくれた。

ベッドサイドに置いてたスマホを確認するウォヌくん。そういえば一緒にいるときにスマホ触ってるところあんまり見ないな。

「あ、日付変わった。」

『うん？』

「A、半年記念日おめでとう。」

『あ！』

「忘れてたの？笑」

『ごめんなさい……』

来るまでは覚えてたんだけど、色々あったからすっかり忘れていた。

「ふはっ全然いいよ。俺と付き合ってくれてありがとう。これからも一緒にいてほしい。」

『私こそ、私なんかを好きになってくれてありがとう。』

「私なんかじゃないよ。俺の大切な世界で一番愛おしい人だよ。」

いつでも私のことを抱きしめてくれる逞しい腕が大好き。

「A、右手出して。」

ウォヌくんの大きな掌に自分の手を乗せる。

薬指に通された指輪。

「ん。こっちはAが俺に着けて」

リングケースに残ってた指輪を手に取るけど、目の前が滲んでよく見えない。

ウォヌくんの反対の手に導かれて、ウォヌくんの薬指に通した。

「よく似合ってる。これにしてよかった。Aも見て？」

流れる涙を顔を包み込むようにして拭ってくれる。たまに触れるひんやりとした感触がさっき右手に感じたのと同じで胸がいっぱいになる。

『本当だ……綺麗……』

「ペアリングでこんなに泣いてたら、プロポーズしたら息できなくなっちゃうんじゃない？笑」

『……プロポーズもしてくれるの？』

「うん。まだ待たせちゃうけど、これは予約。」

『ありがとう』

手を重ねて、そっと甘いキスをしてくれた。一度離れたから今度は私から唇を重ねた。
かわい、ってくしゃっとした笑顔で言ってくれるウォヌくん。自惚れてるかもしれないけど、この笑顔が一番かっこいい。

「Aが仕事でも着けていられるようにシンプルなのにしたよ。」

『ありがとう。とっても気に入った。』

「だから、……明日も着けて行って？」

ヘリンさんのことを気にしてくれてるのだろう。

『もちろん。』

「俺はずっとは着けてられないけど、家にいるときとかAに会いに行くときは着けるようにする。あ、Aに手紙書くときは着けるって決まりにしたら楽しいかも。」

『えへっ、うれしい。』

簡単にできないことはたくさんあっても、ウォヌくんはそれを逆手に取って幸せにしてくれる。