湯気〈MH〉 ページ1
ミョンホさんと女の子の出会いの話。17歳。
You side
正規授業が終わり、学食で夜ご飯を食べて教室へ戻ってきた。
「今日、キム先生お休みだってー。」
「まじ?俺帰ろうかな。」
「私は数学の自習する〜。」
静かに荷物をまとめて、ブレザーを羽織る。
「Aちゃん帰るの?」
『世界史の参考書、買いに行きたくて。』
「そっか。気をつけてね〜。」
「また明日〜。」
高校のクラスのみんなは優しい。大学入試まで半年を切っても、ぴりぴりせずに、みんなで生き抜こうね!って感じの雰囲気。それが嫌なわけじゃないのに、相変わらず怯えるようにしか話せない自分に嫌気がさす。
プルルルル
『もしもし、』
JH「んー?どうしたー?」
『今日ね、先生お休みだって。』
JH「え、うそ。お迎えどうしようか。」
『参考書買いたいから、モール寄ってから電車で帰る。』
JH「わかったー。気をつけるんだよ。」
『うん。』
学校の近くの停留所からバスに乗って、煌々とした電気の光を放つモールに着いた。
「ありがとうございました〜。」
世界史の参考書と数学の問題集、文房具屋まで歩くのが面倒くさいからノートも本屋で買った。5冊セットなんてあっという間になくなるから2つ買った。
『駅は……南口か。』
だったら、文房具屋まで歩けばよかったな。本屋で定価で買うより少しだけ安いし。たたでさえ重い教科書が詰まったリュックサックを背負っているのに、なんでやらなきゃいけないのかわからない参考書の紙袋が鉛のようだ。
若者向けのショップゾーンを抜けて、大人っぽい香水店やチョコレート店の前を歩いていると、ふわっと落ち着くようないい香りがする。
『……紅茶屋さん?』
少し見て帰ろうと、吸い込まれるように店内に入ると、強面のおじさんと優しそうなお兄さんがいた。
「いらっしゃいませ。」
色とりどりのラベルが貼られた缶が天井に届きそうなほど陳列されてる。
見本用に置いてある中抜き窓になった缶を開けて、香りを嗅ぐとまろやかでどこか懐かしい香りにほっとする。
「ミョンホ。」
MH「はい。」
「お嬢さんにお茶を淹れてあげなさい。」
MH「はい!」
お嬢さん……?店内にお客さんは私しかいない。
MH「あの、もし良ければ僕が淹れる紅茶を、飲んでくれますか?」
こてんと小首を傾げる姿は上品な子犬のようで可愛らしかった。
『え、あ、はい……!』
MH「ありがとうございます!えっと、しょうしょ、おまちください!」
「お嬢ちゃん、荷物重たいだろ?とりあえず先にここに置いちゃいな。」
強面のおじさんに少し緊張してたけど、すごく優しい人みたい。
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すずな(プロフ) - ゆにさん» ゆにさま、リクエストありがとうございます!お時間いただきますが、投稿をお待ちいただけたらうれしいです♡ (3月9日 21時) (レス) id: 2b89f0e809 (このIDを非表示/違反報告)
ゆに(プロフ) - いつも楽しく読んでいます!☺︎もしよろしければ、妊娠発覚や出産時のお話も読みたいです...! (3月8日 10時) (レス) id: 39bd297dc3 (このIDを非表示/違反報告)
すずな(プロフ) - N。さん» こちらこそ書くのが楽しかったです!目撃オッパを実兄にするかも迷ったんですけど、ハニさんはその場で喧嘩売りに行くだろうなぁと思って笑、ジスオッパを召喚しました〜!周りにイケメンが12人もいるだけで大変なのに……強く生きてウォヌさん!笑 (2月12日 17時) (レス) @page28 id: 2b89f0e809 (このIDを非表示/違反報告)
N。(プロフ) - リクエスト応えていただきありがとうございます!!私の言葉足らずな文にもかかわらず、、。素敵なお話にして下さり嬉しいです!女の子の周りイケメン多すぎて、きっと元彼も出る幕ないですよね。まず兄にぶっ飛ばされる笑 (2月12日 7時) (レス) id: 033fb33b6a (このIDを非表示/違反報告)
すずな(プロフ) - ゆにっとさん» 返信遅くなってごめんなさい!本編を最後まで読んでいただけてうれしいです!温かい読者の皆さまに支えられて、ここまで優しい物語が書けたと思っています♡短編集にはなりましたがこれからもご愛読いただけたら幸せです! (2月11日 21時) (レス) id: 2b89f0e809 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すずな | 作成日時:2024年1月28日 9時