栞を挟むように。〈WN〉 (ページ44)

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トゲ。ページ44

You side

『荷作りしなきゃ。』

ドーナツを食べ終わってからずっと私を膝の上に乗せて後ろから抱きしめてるウォヌくん。

「今じゃなきゃだめ？」

『早めにやらなきゃ』

明日の朝、6時半に空港でバイバイする。
ウォヌくんはそのままお仕事に行く。昨日も早朝から夕方までお仕事してから迎えに来てくれた。丸一日空けるのも大変なのに、それを私といることにしてくれたのがうれしくて、バイバイするのがさみしくてまた涙が出そう。昨日から泣いてばかりだ。

『本も詰めなきゃいけないし！』

荷物を回収してトランクまで行くのにぴょこぴょこ着いてくるウォヌくん。そんな広い部屋でもないのに笑。ラーメン入ってたところに本がぴったり入って二人で拍手する。

こっちで買った本を一冊手荷物に入れようと思ってリュックを開ける。

『あ、これ買ったんだった。』

「なに？あっ……」

空港で見つけたウォヌくんの雑誌。この表紙のウォヌくんはメイクも衣装もばっちりで、私が知ってるウォヌくんじゃない。

「買ったんだ……」

『好きな人の顔がそこにあったら連れて帰りたくなるでしょ？』

「そうだね笑」

そっか、私が付き合ってしまった人はこんな煌びやかな世界の人なんだ。

「A」

『…なぁに、ウォヌくん』

「Aが本当に見たいなら止めないけど、辛くなるなら仕事してる俺なんか見なくていいから。SNSで俺の名前を調べて一喜一憂して傷ついてほしくない。いつもの今まで通りの俺のことだけ考えて。それで不安になるならいくらでも言葉にして伝えるから。」

ウォヌくんは私の心にできた生まれたてのトゲに私より先に気づいて取り除いてくれる。

『うん』

「明日は離れるけど、さよならじゃないよ。スマホでずっと連絡取れるしお手紙も書く。忙しい日もあるけど、休憩時間にできるだけ返信するから躊躇わないでたくさん連絡して。」

『ウォヌくんとなら大丈夫な気がする……』

やさしく抱きしめてくれるウォヌくんの首にしがみついて息を吸い込む。

「A…」

そっと合わさる唇、
離れて微笑んだウォヌくんと目が合う。

「びっくりした顔してるね。」

『びっくりしたから……』

また近づいて、何回かキスをする。

恥ずかしくなって、顔が見えないようにまたウォヌくんの首に抱きつく。

「愛してるよ、A。」