栞を挟むように。〈WN〉 (ページ43)

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ドーナツ。ページ43

WN side

「これ？」

『っ！？！？』

Aに覆い被さるようにして本を取る。

「俺呼んだらよかったのに。」

『外でウォヌくんの名前呼ばないもん。』

ウォヌくんの部分だけを小さくして言うA。

「そんなヴォルデモートみたいな扱いするの？笑」

その後も何冊も本を選んでいくA。選んだ本を受け取って荷物持ちをする俺。真横にいるのが気になるみたいだけど、お手伝いをしてあげてたら黙認してくれる。仕方ないなぁって目。たくさんお手紙でおしゃべりしたけど、Aは目の方がおしゃべりだ。

それぞれ会計をして店を出る。Aは紙袋いっぱいの本を抱えている。

「持とうか？重いでしょ。」

『これから自分の知識になる本は自分の手で運ぶの！』

彼女なりの哲学らしい。

「でも、お店の中では俺が持ってたよ？笑」

その目は……
そのときはそのとき！って言ってるね笑

『お願いします！』

「はーい。」

『音楽流しますか？』

「お願いしまーす」

車に乗るたびにお願いしますってちゃんと言うところ好きだな。迷うときに口がきゅってなるのも可愛い。可愛いの過剰摂取で死ぬかな。……ディノと10年いても死んでないから大丈夫か。

『よし！』

流れたのは昨日と打って変わって軽やかなジャズ。これはちょっと意外かも。

「ここからホテルまでの間に有名なドーナツ屋さんがあるって、買って帰ろうか。」

『ドーナツ……！』

Aから送られてくる写真は甘いものばっかでこの子はちゃんとご飯を食べてるんだろうかと思ってた。

『……お腹空いてきました』

「急に？笑」

素直すぎない？笑

バケハとマスクをして、Aには前にディノが忘れて行ったキャップを被せる。

「好きなだけ選んでいいよ」

『どうしよう……』

俺はプレーンとチョコレート、Aはプレーンと苺とダブルクリームを選んだ。

『ありがとうございます…！』

「うん。いっぱいお食べ。」

『1個か2個にした方が少食で可愛らしくて良かったのかな…』

ドーナツの箱を睨みながら悶々としているA。そんなこと気にしてんのか、かわいいな。

「好きなものを楽しんで、にっこにこのAが一番可愛いと、俺は思ってるけど？」

また顔を赤くする。部屋に帰ったらドーナツ食べて、いっぱいいちゃいちゃしよ。宣言したら、Aがどこかに隠れてしまいそうだから、心の中で自分だけに誓う。