泣き虫。 ページ40
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「Aさん。」
『はい...』
ごめんね、もっと困らせちゃう。
「俺はAさんのことが好きです。」
『え...？』
「Aさんのことが女の子として好きです。」
びっくりして涙が引っ込んだ綺麗なAさんの瞳を見つめて言う。俺のせいで好きな子が混乱してるのがうれしい。小学校の頃、好きな子をいじめるやつの気持ちがわからなかったけどこういう気持ちだったのか。
「俺がアイドルだとか芸能人だとか、どうでもいいからAさんの気持ちを教えて？」
『…私は』
パジャマの裾をぎゅっと握ったAさんの目を見つめる。お願いだから、何も気にしないで素直な気持ちを教えて。
『ウォヌさんが好きです。たくさんお話してくれて、お茶目で優しいウォヌさんが好きです。』
よかった、俺たち両想いだったんだね。
「距離も遠いし職業柄自由にデートしたりできないかもしれない。でも、絶対に寂しい思いはさせないから、俺と付き合ってくれませんか？」
『私でいいんですか？』
Aさんの両手を取ってそのままそっと握る。
「Aさんじゃないと嫌だ。どんなに人気のあるアイドルよりも俺にとってはAさんが一番可愛いし、幸せにしたいなって思ってる。」
『よろしくお願いします…！』
「もうまた泣く笑」
ぼろぼろと流れるAさんの涙を指の背で拾う。
『これはうれし涙だからいいんです。』
「そうなの？笑」
頭を撫でながら、無意識に涙の溢れる目元に唇を寄せる。
『ひゃっ！』
「ごめん、びっくりした？」
みるみるうちに顔が赤くなってかわいい。
片手を繋いで頭を撫でているうちにだんだん落ち着いてきた。目がとろんとして眠たそう。泣いたら眠くなっちゃったの？赤ちゃんじゃん…
「手つなご？」
小さくてもちもちの手を握ってベッドまで歩く。
一瞬、手を離してベッドに寝転がって腕を広げる。
「おいで。一緒に寝よ？」
『え』
付き合ってすぐでハードルが高いかもしれないけど、次いつ会えるか分からないから出来るだけAさんに触れていたい。
手を繋いで、自分の方に彼女を引っ張ると力には勝てないのだろう。あっという間に俺の腕の中に収まる。
「腕固くない？大丈夫？」
小声で頷くAさんをもっと胸元に抱き寄せる。
『わっ』
「聴こえる？……俺もどきどきしてるよ。」
『……本当だっ。』
可愛い笑顔で俺を見上げてくれる。やばい。かわいい。
抱きしめたまま頭を撫でて呟く。
「おやすみ、A」
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作者名：すずな | 作成日時：2023年11月20日 16時
