栞を挟むように。〈WN〉 (ページ39)

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童顔。ページ39

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現在深夜2時過ぎ。交代でお風呂に入って、おやすみを言ってから40分が過ぎた。俺はスマホを見てたけど、Aさんは

ガサガサ

「眠れない？」

『はい...』

「疲れると逆に眠れないときあるよね。お茶でも淹れようか。」

ソファの近くの間接照明をつけて、ティファールに水を淹れてスイッチを入れる。ソファに腰かけて腕を大きく開く。

「こっちおいで～！」

『ふふっ、もう！犬じゃないんだから。』

不安げな顔をしてたAさんをちょっとふざけて呼ぶ。こんな時間に迷惑かけちゃったとか思ってるんだろうな。ソファの端っこに座ったAさんの前にマグカップを置く。

「ノンカフェインのルイボスティーだって。眠くなるかな。はい、どうぞ。」

『ありがとうございます。』

お風呂上がりほとんど顔を合わせずにベッドに入ったから、すっぴんの顔を初めてみた。メイクしてたときより幼くてほっぺたがふわふわで可愛い。

「すっぴん、可愛いね。」

『……冗談がお上手で。』

本心なのに。少し童顔なのがコンプレックスらしい。

『ウォヌさん』

「うん？」

もう緊張は抜けたと思ったのに会ったばっかのときと同じ難しい顔のAさん。

『……ウォヌさんはアイドルなんですか？』

別に絶対隠そうとしてた訳じゃない。芸能人のウォヌを知らないただのチョン・ウォヌと話してくれる人がひさしぶりにできてうれしかっただけ。でも、この子は...

『ごめんなさい！雑誌の表紙にウォヌさんがいてびっくりして調べちゃいました……』

「うん。そうだよ。」

ほら、絶望したような顔をする。

「隠してたわけじゃないけど、ただの俺と連絡を取ってくれるのがうれしくて、わざわざ言わなかったんだ。騙されたと思った？」

『全然！そんなことないです！でも……』

「でも？」

『私はウォヌさんと関わっていいような人間じゃないから』

「どうして？」

『だって、ウォヌさんはかっこいいアイドルで、ウォヌさんの周りにはきっともっと可愛いアイドルやモデルさんがいて、私みたいなちんちくりんの相手をしなくても…っ』

Aさんの口の前に指をかざす。

「俺の大切な人のこと、そんな風に言ったら怒るよ？」

『っ……！』

そんな目に水分を溜めて、涙をひと粒ふた粒流しながら言われたって言うこと聞いてあげられないよ。