栞を挟むように。〈WN〉 (ページ33)

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雪。ページ33

You side

『わーー...』

見渡すかぎりきらきらとした雪景色。
始発のはやぶさに乗っている。
雪化粧されたブロンズ像が見たくて日帰り旅行をすることにした。隣には何故か。

『...様になるな』

私の本を読む高橋くん。明後日から青森に行くと言ったらもう大学ないし、バイトないから着いて行ってもいいですかと言われた。

TK「なんかこの本をAさんが今日持ってきた理由がわかる気がする。」

高橋くんの手元にあるのはフィンランドの作家の短編集。

『雪からの連想で単純だと思ったの？』

TK「単純って...Aさんすぐ捻くれるんだから。季節や天気で選ぶのも素敵だと思ってるだけです。」

冷め切ったペットボトルの紅茶を飲む。まだスタバは開いてなかった。

TK「もう雪景色ですね。」

『うん。まだあと1時間はかかるよ。本当に着いてきてよかったの？』

日帰りだと、5時間しか滞在できないし1日新幹線に乗っているようなもの。

TK「大学のやつらと遊ぶのも疲れるんですよ...笑」

『あー私はそういうの全部捨てて本の森に逃げたからな笑』

窓の外を撮ってウォヌさんに送る。
あれ、すぐ既読が着いた。

ウォヌおはよう。どこ行ってるの?
A青森に向かう新幹線の中です。
ウォヌびっくりした。韓国来たのかと思った。
A再来週ですよ～
ウォヌうん。待ってる。

ウォヌさんが待っててくれるだけで胸がきゅーってなる。

今日は5冊持ってきたから。高橋くんに取られても困らない。この本なら着くまでに読み終わるかな。
詩集を開く。紙の擦れる音だけが流れる。

「『ゆきー！』」

二人揃って叫んでみる。雪に吸い込まれてあんまり響かない。

館内に入ると外の世界に染まったような内装に溜息が出る。

『一般と大学生1枚ずつお願いします。』

TK「え？自分で買いますよ？」

『いいの。遅れてきたお年玉～。』

やっとブロンズ像と会えた。この子は本当に可愛い。どれだけ寒くてもこの時期に会いたかった。

カシャッ
TK「今日はスーパーチェブラーシカですね。」

今日はいつもよりボリューミーなマフラーとミトンを着けてる。

『ふふふっ、可愛いでしょ。』

TK「上手く撮れたので送っときますね。」

『え、私も入ってたの？』

私の後ろ姿とブロンズ像。いい感じだったからそのままウォヌさんに送った。

A青森県に着きました!

いつかウォヌさんとも来たいな。