栞を挟むように。〈WN〉 (ページ32)

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白猫の誘い。ページ32

You side

『よ、ヨボセヨ？』

「ふははっ、こんばんは。」

ウォヌさんと電話するのも5回目。やっと会話をするのに慣れてきた。

『...なんで笑うんですか。』

「可愛いなって思って。」

こういうことを平気で言うのは通話をするようになってから知った。...誰にでも言ってるのかな。

『あ！さっき送ってくれたお鍋美味しそうでした～』

「おいしかった。ミンギュが作ってくれたんだ。」

ウォヌさんの同居人はミンギュさんと言うのも教えてもらった。
美味しかったものや綺麗な月や雲の写真を送りあったり、早起きの弱音を吐いたり、毎日欠かさず連絡を取っている。

「あ、今日出したから。しばらく時間はかかるけど。っていうのもなんか野暮か笑。」

『ふふふ、楽しみに待ってます。』

それでも、文通は続けている。私がウォヌさんの洗練された文章が好きなようにウォヌさんも私の手紙を読みたいと思ってくれているらしい。うれしい。でも、連絡は毎日カトクでできるし、速達で送るのはやめてゆっくり往復している。...ちょっと財布が寂しかったし。

私を電話に誘ってくれたとき、ウォヌさんは緊張してたらしい。話しやすい子でよかったとウォヌさんは言ってくれたけど、私だってほとんど話すのがはじめてのゆっくりで下手っぴな韓国語に耳を傾けてくれるウォヌさんを本当に優しい人だと思ってる。
だから、今度は私の番だ。

『あの、』

「うん？」

『来月少しまとまったお休みが取れそうで、もし良ければ私が韓国に行くので会いませんか？』

「え……！
うん。俺も会いたいです。
あんまり観光とか連れてってあげられないけど大丈夫？」

『全然！ウォヌさんとお話しできたらそれだけでいいので…』

「よかった。明日会社にスケジュール確認するから、わかったら連絡する。」

『はい！』

「ひさしぶり...というかほとんど初めましてだね笑」

『たくさん話してたからなんか不思議ですね笑』

よし！やっとウォヌさんに会える...!
話すのに緊張してたからか急に眠たくなってくる。

「もう日付変わるし、そろそろ。」

『はい！楽しかったです。』

「寒いからお腹出さずに寝るんだよ？笑」

『そんな子どもじゃないです！笑
おやすみなさい～』

「"おやすみなさい"」

スマホの画面が通話終了を告げる。
...こういうところが狡い。最後だけ日本語だった。
これだけでときめいちゃうのに会ったらどうなっちゃうんだろ。