栞を挟むように。〈WN〉 (ページ26)

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おでん。ページ26

You side

入社2年目が中央区や千代田区に住めるわけもなく、電車で30分ほどの郊外に住んでいる。最初は広めのワンルームを探してたけど全然なくて、結局少し頑張って1DKに住んでいる。本来寝室にするであろう一部屋は本の海になっていて、ダイニング一間で生活しているようなもんだ。

やっとアパートの光が見えてきた。

エコバックを忘れて、おでんの容器を手に持ったまま歩いて帰ってきた。

ポスト見たいな...

なんとか腕に容器を固定してポストをあける。

分不相応な一軒家のチラシと廃品回収車のチラシ

『え...』

何か封筒が入っている。

裏面の差出人は……チョンウォヌ！？

っ！？！？！？

びっくりしすぎて、おでんを落としそうになった。危ない。

しっかり封筒と容器を持ち直して階段を登る。本や米を買ってきたときはこの階段を恨みそうになる。

カチャカチャガチャッ

なんでこういうときに限って靴を脱ぐのに手こずるんだろう。

テーブルに適当に荷物を置いて手紙を取り出す。

深緑色のシンプルな封筒には見慣れないシールが貼ってある。

EMS...国際便の速達……？

すごく早かったから見間違えかと思ったけど本物らしい。

この時期にインフルになったら抹殺されてしまうから、とりあえず手洗いうがいをする。

『………ふぅーーっ』

椅子に座って、手紙の封を切った。