栞を挟むように。〈WN〉 (ページ23)

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ペーパーナイフ。ページ23

WN side

中学生の頃かっこつけて買ったけど、抽斗に眠ってたペーパーナイフでそーっと開ける。

真っ直ぐで丁寧に書かれたハングル。

...韓国語がわかるのか？
少し覚束ない緊張が伝わる文章だから、ネイティブではないのか...

WN「Aさん...」

綺麗な名前。
声に出すと思わず笑顔になってしまう。

こういう職業をしてると普通に働いている人は大人っぽく見るけど、年下か。

趣味は気が合いそう。
いつかソウルや東京で一緒に美術館に行きたいな。

彼女はどんな本を読むんだろう。

WN「……ふふっ」

ショートケーキとほうれん草の胡麻和え？
すごい素直な組み合わせだなぁ。

季節と動物も気が合う。

猫に似てるって言われるから……俺のことも好きになってくれないかな。

WN「え……」

本棚の取りやすいところに立てかけてあった本を取る。

WN「そっかぁ...」

本の表紙を撫でて思わずガッツポーズをする。

あのときの俺、でかした。

WN「お返事待ってます……か。」

ファンとメンバー以外に手紙なんて何年書いてないんだろう。
……おばあちゃんに誕生日プレゼントのお礼を手紙で出してたとき以来...？

レターセットも持っていない。

たしか明日は空き時間があるはずだから、そこで買いに行けるかな。

何を書こう。
聞きたいことがたくさんある。