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児童文学。ページ3

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約180センチの黒づくめの大男二人で何をやってるんだか。
かれこれ15分くらい本棚とにらめっこしてる。

JH「おかしいな、文庫ってやつはこの棚で合ってるはずなんだけど」

「もう一回写真見せて。」

俺はほとんどひらがなしか読めないけど漢字の造形を一瞬覚えるくらいならできる。「宮沢賢治」という文字を目に焼きつけてまた本棚に向かう。ジョンハンは横で、みやじゃわけんじみやじゃわけんじと呟いている。

『何かお探しですか？』

凛とした声が俺の耳に届いた。

JH「店員さんですか？」

『はい、一緒にお探ししますよ？』

さらさらの黒い髪、細い縁の眼鏡からは優しい瞳が見える。背はウジより少し小さいくらいだろうか。

JH「この本です～」

見惚れてる俺をよそにジョンハンは彼女に本の在処を聞いている。

『この本は児童文学なのでここじゃないんです。』

JH「じどう、ぶんがく？」

『こども向けの本のことです』

JH「あー！だからここにないんですね～」

『宮沢賢治は大人向けの文庫にもありますけど、児童文学のものにしますか？』

JH「大人の方が漢字が多い？」

『そうです！児童文学は漢字があってもひらがなで読み方が書いてあります。物語の内容はおんなじですよ～。』

JH「じゃあ、じどうぶんがく...?の本にします。」

『はい！上の階なので本棚までご案内しますね！』

俺たちが外国人だと気づいたんだろう。身振り手振りしながら簡単な日本語で一生懸命説明してくれる。