栞を挟むように。〈WN〉 (ページ18)

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天才作曲家。ページ18

JH side

コーヒーショップの袋を持って重い扉を開ける。

JH「あんにょーん」

誰かがレコーディングブースに入っているようだから小さな声で挨拶する。

カチッ
WZ「今のところ、もう少し多く空気を混ぜて。」

カチッ
WZ「力みすぎ、できるだけ柔らかく歌ってみて。いつもみたいに力抜いて。できるから、ウォヌ。」

あーウォヌか。今一番気になる弟。悪戯の標的じゃなくて、今はウォヌの淡い恋路を見守っている。

見守るって言ってもウォヌは何も話してくれないから、顔色を見るしかできない。
韓国に帰ってきてから一人でいるときもコロコロ表情が変わってて、遠くから見てるホシやドギョムが不思議そうな顔をしてる。

今日は新曲のレコーディング。

カチッ
WZ「一回戻ってこい。休憩しよう。」

あららー、だめだったか。

「ごめん、ジフン。」

WZ「そんなしけた顔するなよ。
自販機でエナドリ...は炭酸入ってるからやめた方がいいか。カフェでコーヒーでもテイクアウトしてきたら？
20分後から再開な。」

「うん、ありがとう。」

ちょっと暗い顔のまま、スマホだけ持って部屋を出るウォヌ。

WZ「おつかれさま、ハニヒョン。」

お？ウジや、ヒョンが来たのに今気づいたの？

JH「おつかれ、ウジや～～
ウォヌが帰ってくるまで僕のレコーディングやる？」

WZ「いや、俺も休憩してないからしない。」

JH「あ、これウジの分。」

買ってきたコーヒーをウジとボムジュヒョンに渡す。

WZ「ウォヌの分もあるじゃん。」

ウォヌか誰かメンバーがいるだろうと思って、一個多めに買ってきたアイスアメリカーノが袋に残っている。

JH「外の空気吸わせてあげた方がいいかなって。ウジもそう思ったんでしょ？」

WZ「うん。アイツ、今日はいつもの何倍も時間がかかってる。
同い年だからか、単にウォヌが読解力があるからかわからないけど、いつもなら2,3回言葉でアドバイスしたら上手くやってくれるのに今日はどうしたんだろう。」

今日の曲は、真っ直ぐで少し苦しいくらいの片想いラブソング。

あぁ、今のウォヌに嵌りすぎてるんだな。

WZ「...ヒョンなにか知ってるの？」

ふわふわした気持ちで歌詞カードを見てたら、ウジにバレた。

でも、ヒョンはゲームでズルしても、人の恋を勝手に他人に話すような人間じゃないんだよ。

JH「うーん...一生懸命夢に向かって頑張ってた弟がやっと周りを見えるようになったってとこかな。」

これくらいは許してほしい。