烏龍茶。 ページ14
You side
都心のイタリアンとかは緊張して無理だと高橋くんが言ったから結局チェーンの焼き鳥屋に入った。高橋くんとはタレ塩の好みが合うので、1皿2本を1本ずつ分ける。
『はぁーーー』
TK「Aさんってビールみたいにウーロン茶飲みますよね笑」
『しょうがないじゃん、お酒飲めないんだから。』
烏龍茶を飲み干す私を笑う高橋くんは数ヶ月前に二十歳になったばかりなのに顔色も変えずにレモンサワーを煽っている。
TK「川上さんはお酒入ったAさん見たことあるんでしたっけ?」
『うん。二十歳になってすぐほろ○い一杯飲んだら割といけたから、忘年会で周りに揃えて一杯目したらダメだった、川上さんに外ではもう飲むなーって言われた。』
TK「へー、俺もいつか見てみたいなぁ。」
『飲みに連れ回されてたころ、川上さんは永遠にハイボール飲んでるのに、私は烏龍茶かジンジャーエールなんだよ笑』
串ものはひと段落して、枝豆や長芋焼きをつまむ。
『高橋くんはナンパしたことある?』
TK「ないっすよ。」
『されたことは?』
TK「ないです。」
『なんでよ〜、役立たずー!』
TK「なんでって笑、ナンパなんてそんなよく聞く話じゃないですよ。」
『だよね〜...うー....れんらくさき』
TK「連絡先?」
『渡された。』
TK「誰にですか?...え??昨日の黒づくめの男?」
『ふふ、私も思ったけどそれだとコ○ンだから笑
...なんで黒づくめだったって知ってんの。』
TK「パートの○○さんが、今日韓国人のかっこいいお客さんの対応をAさんがしてて羨ましかったって、昨日話してて。あーそれがひと粒の星男のことかーて。」
『ひと粒の星男やめい』
TK「そんなかっこよかったんですか?」
『帽子とマスクしてたからはっきりと顔はわからないけど、でも、本を探してた人は可愛らしい笑顔の人。例の彼はすらーっとしたかっこいい雰囲気の人だった。あとね、声が低くてやさしい声だったなぁ。』
TK「で、その人がAさんが店から出てくるのを待ってて、連絡先を渡されたと。」
『そういうことです。』
TK「結婚詐欺じゃなかったら、完璧な運命の出会いですね。」
『結婚詐欺だったらどうしよう...』
TK「うわーAさん、最後まで信じそう。」
失礼な。でも、図星だ。自分でもよく分かってる。喋らない壺は信じないから買わないけど、喋る人間には着いていってしまいそうだ。
TK「とりあえず、その紙を見せてくださいよ。」
444人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:すずな | 作成日時:2023年11月20日 16時