◇ ページ8
.
――ショッピは今、とても困惑していた。
しかしそれを表に出すことはせず、あくまで冷静を装って、グルッペンの言葉を噛み砕いていく。
彼らの言う"能力"とは、コネシマの"体質"のことである。ショッピ自身は決して不死身ではない。血が大量に流れれば失血死するし、心臓や頭を潰されれば生命活動は止まる。
つまり、コネシマと同じかと聞かれれば、それは否である。
そう応えようとして、しかしその前に口を開いたのはずっと傍観していたオスマンだった。
「別に、能力はコネシマみたいな不死身だけとちゃうよ」
グルッペンの隣、トントンと逆側に座って優雅に足を組んでいたオスマンは瞳を薄くチラつかせてショッピを見つめる。その視線が何だか恐ろしくて、数秒と持たずに逸らしてしまう。
「それは、どんなんがあるんですか」
この質問をしたのはほとんど好奇心だった。コネシマのような不死身の人間がいるのだから今更二人目や三人目が出てきてもおかしくはないし、似たような人間がいたってそれはもう今更だ。――状況が飲み込めるかは置いておいて。
「色々あるぞ！」
「ゾムとかロボロがわかりやすいんちゃう？あとひとらんも」
「見ればわかりやすいやろ、ほらゾム」
「えっ俺なん？別にいいけど」
急に話を振られたゾムは驚きながらも了承する。ショッピに「見ててな」とだけ声をかけ、その視界に入っていることを確認したゾムは、薄く笑って――消えた。
「え……？」
確かに視界には入っていたはずのゾムが一瞬にして消えた。キョロキョロと見渡してもその特徴的な緑色のパーカーはどこにも存在しない。慌てるショッピに、先程ゾムが消えた位置から悪戯が成功した子供のような笑い声が聞こえてくる。
そして声のするほうを見ると、そこにはゾムがいた。
「透明人間……？」
「正しくは"空気になる"んやけど、それも間違いでは無いと思うで」
「どう違うんですか？」
「空気がないとなられへん。水中とかは無理やな」
「な、るほど」
不死身がいるのだから何があっても驚くことは無いだろうとタカを括っていたがまさか透明人間になれるとは。
しかしこの世界、ほとんどの場所で空気は存在するはずだし、だいたいの場所ではなれるのだろう。――そういえばあの時、彼は確か瞬きしている間に目の前に現れた。つまり、透明人間となって近付いていたのだろう。
「それで？ショッピくんは能力を持っているのか？」
二度目の質問に、しかし答えが決まっていたショッピはそのことを口にしようとして、遮られた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 292人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うみ - 表現の仕方とか大好きです！ついつい読むのに熱中しちゃいます。これからも頑張ってください！！ (2019年10月27日 0時) (
レス) id: c63ddd2bb5 (このIDを非表示/違反報告)
雨の止まない街(プロフ) - 初コメ失礼します。皆さんの能力設定好きです。陰ながら応援しておりますので無理をせず更新していって下さい。コメント、評価に関してはとても同感です^^ (2019年10月19日 16時) (レス) id: 73a1ddffb6 (このIDを非表示/違反報告)
うにゅ@最近某戦争屋さんにハマった(プロフ) - コメント失礼します！、私は正直語彙力のなさから上手くは言えないのですが、評価やコメントを欲しいって思ってもいいと思います！、褒めて伸ばすって言葉もあるくらいですから！、もしかしたらこの作品をあまり好きじゃない人もいるかもしれないけど、私は大好きです！ (2019年10月16日 7時) (レス) id: aa182fc6be (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 桜藍さん» コメントありがとうございます。頑張って設定を考えたのでそう言って頂けるととても嬉しいです。慣れない書き方をしているのでおかしいところだらけですが.......。能力も今後明らかにしていきますのでお楽しみください。ありがとうございます。 (2019年10月15日 20時) (レス) id: 7f43ca59ce (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 紫陽花さん» コメントありがとうございます。彼が主人公に選ばれた理由は単純にツイッターアンケートと作者の書きやすさからですが楽しんでいただいてるようで何よりです。これからも更新頑張りますのでよろしくお願いします。 (2019年10月15日 20時) (レス) id: 7f43ca59ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：作者 | 作成日時：2019年10月13日 0時
