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平等院鳳凰 Happy Birthday! ページ6

U-17マネージャー、高3、元氷帝

私は図書館で最近気になっている本を探していた。

探しているのは洋書のミステリー、読むのに苦労はするだろうが、英語の勉強になりちょうどいいだろう。

そう思い辺りの本を物色し、やっとその本を見つけた。

私は嬉しくて手を伸ばしたが、もう一つの伸びる手に気づかなかった。

貴『え…』

平等院「…」

私は顔から血の気が引いていくのを感じた。

平等院君は何も言わずこちらを見ている。

正直いって私は彼が苦手だ。

だからあまり話したことがない。

平等院「おい」

貴『はっ…はいっ…』

平等院「貴様も読むのか」

貴『そのつもりですが…平等院君が読むならどうぞ…』

私はその本から手を引いた。

平等院君はその本を手に取ると私に差し出した。

貴『…?』

平等院「俺はもう読んだから構わん」

貴『え…でも…』

平等院「その代わり読み終わったら貸せ」

貴『…ありがとう…ございます』

平等院君から本を受け取った。

平等院「…貴様、英語は読めるのか」

貴『いえ…けど勉強になるかなって』

平等院「…ついてこい」

そう言われて彼の背中を追った。

彼が一つの本棚から取り出した一冊の本を見ると、例の本の日本語バージョンだった。

平等院「この本はうまく訳されている。一緒に読むといいだろう」

貴『ありがとうございます…』

私がお礼を言うと平等院君は去っていった。

貴(悪い人じゃ…ないのかな…)

そう思うと何故だか少し嬉しくなった。

図書館を出ると同級生の越知君がいた。

越知「…嬉しそうだな」

貴『うん、いい事があったの』

越知「そうか…良かったな」

越知君は無表情のまま私の頭を撫でると図書館に入っていった。

これも彼なりの表現なのだろう。

それから一週間後、ようやく例の本を読み終えた私は平等院君の元へ向かった。

貴『平等院君…これ読み終わったので…』

平等院「…」

私が本を差し出すと平等院君はそれを黙って受け取った。

貴『あ…それで…平等院君が教えてくれた此方の本のおかげで読みやすくて…ありがとうございます』

平等院「大した事はしていない」

貴『…』

このまま終わってはいけない。そんな気がした。

貴『あ…あの…もしよければ平等院君のおすすめの本教えてくれませんか…?』

平等院「…いいだろう」

貴『…!』

それから私達は何度も本について話した。

私の中にあった彼の怖いイメージはなくなっており、普段の会話もできるようになっていた。

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作者名:ブラックトランペット | 作成日時:2019年6月29日 15時

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