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跡部景吾 HappyBirthday! ページ35

江戸時代、吉原パロ、18歳くらい?

ここは吉原、夜の町。

外に見えるのは女を求めて歩く男の姿だけ。

いつから私の世界はこんなに狭くなったのだろう。

足には重しがつけられていて自分では簡単に動くことができない。

私がここに来させられたのは三年前、それまでは一国の姫だった。

民のことを考え、民のために刀を振るっていた父上

誰よりも優しく、母として妻として鏡のような母上

私はそんなお二人に愛され、幸せに暮らしていた。

婚約者もいた、私にはもったいないような、とてもかっこいいお方。

名前は…

「A!お客だよ」

店主に重しを外され、ゆっくりと歩き出す。

ある日、父の重臣の一人が謀反をお越し、両親は殺された。

私は逃げようとしたが、女が男に敵うはずがなく、捕まりここにつれてこられた。

今まで何人のお客の相手をさせられただろう。

そう思うと気持ち悪くて仕方ない。

だが私はここから逃げられない。

そうしてまた客の相手をするのだ。

こんな姿ではもう二度と彼に会うことはできない。

優しく、強く、聡明で、私を愛していると言ってくださったあの方に、今の私を見せることはできない。

そう思うと涙が溢れて止まらなかった。

仕事中なのに泣いてしまった私は店主にこっぴどくしかられ、部屋に戻された。

それから二日後の夜だった。

壁に寄りかかりながら外を見ると一昨日と何も変わらない光景。

私はこのままこんな所で一生を終えるのか。

一昨日で止めたはずの涙が再び溢れてきた。

貴『父上っ…母上っ…___様っ…!』

すると店の入り口が騒がしくなったことに気がついた。

どんな方が来たのか、そう思っていると騒いでいる声が私の部屋に近づいて来るのに気がついた。

「お待ちください!こいつは何があっても外に出すなと言われているんです!」

?「そんなこと俺様には関係ねーよ」

その声を聞いてはっと気がついた。

慌てて身を起こすと襖が開いてある人物がたっていた。

その人はこの吉原の町には似合わないような綺麗な着物を来て、堂々と立っていた。

貴『景吾様…!』

ずっと会いたかった、愛しい人。

跡部「やっと見つけた…探したぜ、A」

彼は私に手を伸ばしたが、私はその手を避けてしまった。

跡部「…?」

貴『私は…ここに連れてこられて汚れてしまいました…。もう私は貴方様の触れていいものではございません!』

本当は触れたくて、昔のように抱き締めてほしくてたまらないのに。

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作者名:ブラックトランペット | 作成日時:2019年6月29日 15時

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