続き ページ2
知念「わんがもらってもいいんばー？」
貴『もちろん』
別れてから、それから会うことはなかった。
わんがテニスを始めた年とその次の年、彼女は部活が忙しくうちなーに来れなかった。
そして現在、彼女から貰ったミサンガは鞄につけられている。
とある部活の帰り、ふとそれが目についてじっと見ていると凛が声をかけてきた。
平古場「？ぬーがよ、それ」
知念「ミサンガさー」
平古場「それは知っとるさー。誰にもらったんばー？」
知念「…知り合いさー」
平古場「いなぐか？」
わんは思わず答えに戸惑った。
木手「やめなさいよ、平古場君。話したくない事もあるでしょう」
知念「そういう訳じゃねーらん。くりは…もう会えない人のものさー」
木手・平古場「「？」」
そんな会話から数ヶ月後、わん達は大会に出る為に東京に来た。
会場の周りを見渡すと彼女の言っていた通り沢山のビルか見えた。
甲斐「えーしろー、いなぐがでーじいるさー」
木手「違うコートでは女子も試合をしているようですよ」
甲斐「あいひゃー…本土のいなぐでーじちゅっさー…」
木手「ゴーヤー食わすよー」
わんは小さな希望を胸に彼女の姿だけを探した。
けれどやはり彼女はいなかった。
そしてわん達の試合が始まる時間になった。
相手は青学。
惨敗だった。
悔しい、わん達の今までしてきた事は何だったのだろうか。
彼女が強くなれると言ってくれたのに。
一人涙を流していると、後ろから足音が聞こえた。
きっと永四郎に言われてきた凛か裕次郎だ。
そう思って涙をぬぐい後ろを向いた。
けどそこにいたのは二人のどちらでもなかった。
あのときと同じ白い肌、少し大人っぽくなった顔立ち。
Aだった。
知念「！？」
貴『寛君…だよね、ごめんね、本トは来てほしくなかっただろうけど比嘉の人から聞いて…』
気づくと彼女の腕を引いて抱き締めていた。
知念「わっさん…」
彼女は最初は驚いていたが、少しするとわんの背中にてを回していた。
貴『見てたよ、試合。相手…うちの中学だったの』
知念「…」
貴『凄くかっこよかった。コートのなかで誰よりも』
知念「わんは…負けたさー…」
貴『勝ち負けなんて関係ない。私の大好きなテニスを、貴方がやってくれてるんだもん』
知念「A…」
どこまでも優しい彼女に、困らせるとわかっていても、溢れてくる気持ちが押さえられなかった。
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作者名：ブラックトランペット | 作成日時：2019年6月29日 15時
