だから、笑顔で言った。 ページ6
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あの日も、月の真ん中の日だった。
丸い月が明るくて、
寒さも緩んできて、来月はやっと桜が咲く、
そんなとき。
「おれ、東京いくねん」
「一年、研修したら戻ってきて営業やって」
廉が、ずっと営業になりたかったのは知ってた。
夢が叶いそうな廉の目はきらきらしていて、
わたしと離れることなんて微塵も頭にないような。
そんな眼をした廉を前にして、
...行かないで、なんて言えなくて。
だってそれは、廉の夢を応援していないことを意味するから。
しかも離れるのが嫌だから行かないでとか、
重い女だと思われても仕方がない。
だから、笑顔で言った。
「良かったじゃん!」
「営業、なれるんでしょ?」
目に張った薄い膜には、
きっと気づかれていない。
「お風呂、入ってくるね」
言い置いて部屋を出た。
きっと廉のことだから、
なんでもっと喜んでくれへんの、くらい思ってるだろうな。
そう思うとちょっと笑えて、
同時にまるい雫がぽろりとこぼれた。
廉がリビングから歩いてくる気配がしたから、
慌てて服を脱ぎ散らかしてお風呂場に飛び込む。
シャワーでごまかせば、
泣き声もばれないし目も腫れないし大丈夫。
安心感からか、涙が止まらなかった。
1年も廉と離れて、
今のわたしは壊れないのかな、
それが心配だった。
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「なかったことにならへん?」→←そう言った瞬間によぎったのは、
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ましろ(プロフ) - myyn15さん» 続編ですが、作らないつもりです。自分が廉くんでかけるのか試したかっただけなので...すみません、またいずれ廉君はかくと思うのでそれまでお待ちいただけると嬉しいです(^^) (2017年1月20日 20時) (レス) id: b4cfddb87b (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - myyn15さん» コメントありがとうございます。未完なかんじにした理由ですが、あえてもやっとした終わり方でこの後を読者様に創造していただきたくて... (2017年1月20日 20時) (レス) id: b4cfddb87b (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - 心愛さん» コメントありがとうございます。素敵といっていただけて嬉しいです!続編ですが、作らないつもりです。自分が廉くんでかけるのか試したかっただけなので...すみません、またいずれ廉君はかくと思うのでそれまでお待ちいただけると嬉しいです(^^) (2017年1月20日 20時) (レス) id: b4cfddb87b (このIDを非表示/違反報告)
myyn15(プロフ) - 読ませていただきました。個人的にはここで終わり?というように感じました。廉くんが会社に行った場面や二人のその後が見られたら嬉しいです。不器用な二人なりの愛があって、大人な恋愛だなぁと思いました。 (2017年1月19日 23時) (レス) id: 8aa3ebfe3c (このIDを非表示/違反報告)
心愛(プロフ) - 素敵な小説でした!良ければ続編を希望します! (2017年1月19日 18時) (レス) id: d8dfb27e58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2017年1月13日 17時