僕の砂糖は甘すぎる。*ジンシュガ (ページ17)

今日:2 hit、昨日:5 hit、合計:178,380 hit

彩どり。ページ17

＊

少し経って広めの通りに出た。
もう暗いのにそれにしては人が多い気がする。
特にカップルが。

ユンギがわざわざ人の居る場所に来るなんて。
新しいイヤホン買いに電器屋さん行きたいとか?
でも家の近くにセールやってるお店あるし節約家な僕を連れているなら尚更そっちに行く方が自然だし。

「どこ行くの?」

「もうそろそろ分かりますよ」

そういう横顔はまるで遠足が迫った小学生みたいに期待が滲んでいて、益々予想がつかなかった。

疑問符ばかり詰まった頭のまま真っ直ぐのアスファルトを進むと公園に差し掛かった。

すると見えてきたのはキラキラ明るい色彩の輝き。

イルミネーションだ。

「わぁっ、綺麗....!」

「今日までやってるって聞いたんで、せっかくだから」

ミニサプライズ?と呟くユンギは茶目っ気充分で可愛かった。

淡いライトグリーンに覆われた三角錐のタワー、辺りの樹木は枝の先までをピンク色に染めている。うさぎの形をしたものもあって目をキョロキョロと四方八方へ走らせる。

「はしゃぎすぎですよ」

「だって感動しちゃって」

「子供みたい」

「う、うるさいなあ」

そういうユンギこそ、ふよふよした唇の端をあげて歯を出しながら笑っている。

繋いだままの手はすっかりかじかんでいるのに不思議と体の中からぽかぽかとした温かさが込み上げる。

「っ、わ、ちょっと....」

気付いたら抱き締めていた。

繋いでない方の腕を背中に回して引き寄せて。

「ひょん.....こんなとこで、」

首元で照れた声がするのがどうしようもなく愛しくて。

「ありがとうユンギ、僕今日すごく幸せだ」

鼻を啜ったのを聞かれたかもしれない。
けどそれ程僕の中で今日という日は素晴らしく良いものだったんだ。忙しいスケジュールのなかの貴重な休日で宿泊で恋人と居られるだけでも贅沢だというのに。

「...俺も、幸せ、です」

途切れ途切れの素直な言葉が嬉しくてユンギの肩に手を添えるとこちらを向かせてキスをした。

冷えた温度が小さな柔らかさとなって僕の唇と反発しあう。
角度を変えてさらに深くしようとすると唇を閉ざされてしまったうえに人差し指を唇に押し付けられた。

「続きは帰ってから」

「そんなあ.....ひどい」

シャイな恋人からまさかのお預けに面食らって頬を膨らませる僕を見た彼は無邪気な笑顔を浮かべていた。