泡沫の水晶は恋色に*BTS／BL

. ページ18

＊



それからの僕は、ひとことで言うと『変。』だった。


ジミニヒョンにダンスを褒められた時、嬉しいのにどうしてか顔も見れなくて何も言わずシャツで汗を拭く素振りをして表情を隠してしまったり。

番組でジミニヒョンが僕の隣に居たら、他のヒョン達に話しかけるのをカモフラージュに立ち位置を変えたり。

自分でもどうしてこんなことをしてしまうのか分からなかった。

ただ何となく、あの人の傍に居たら自分がおかしくなってしまいそうな気がして。







“ 好きな女性のタイプは？ ”


もはやインタビュアーの十八番と言ってもいいこの質問。

リーダーのナムジュニヒョンから回答がまわっていって、赤のコンバースを履いた人だとか曲の趣味が合う人だとか、相変わらずな答えが続く。


“ では、ジミンさんは？ ”


その名前を拾って無意識のうちに耳が傾く。


「僕は〜....可愛らしい人が好きですね」

“ 容姿がですか？ ”

「どっちも...ですね、あはは」

“ ありがとうございます、Ｖさんは....... ”


可愛い人、かあ...。

ジミニヒョンのことだからきっと小柄で華奢で優しくて、妹にしたくなるような、そんな女の子が好きそう。



........僕は、男。



...あれ、何考えてるんだろ。


“ ジョングクさんはどうですか？ ”

「えっ、あ.....」


まずい、なんにも考えてなかった。


「僕は....僕より少し身長が低くて、」

“ 高身長の方がいいんですね ”

「あと...涼しげな顔立ちだけど笑顔が可愛くて、華奢だけど少し筋肉質で、ダンスや曲の趣味が合って、いつも僕の傍を離れないでいてくれて、......」


あれ....？


“ おや、ずいぶん具体的ですね？もしかして....特定の方を思い浮かべて言ってたりします？ ”

「....いいえ」

“ そうですよね！いやぁ、やっぱり黄金の末っ子ともなると理想が高いですね〜。それでは次の質問なんですが、メンバーの中で彼女にするなら..... ”









『“ 特定の方を思い浮かべて言ってたりします？ ”』






だとしたら、


.....誰を？






胸の隅を、ふっと風のように横切る人影。





その人は重々しそうに、不透明だったヴェールを脱いだ。









「ジミニヒョン.......？」

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す