検索窓
今日:4 hit、昨日:5 hit、合計:67,765 hit

お互いさま*yg/hs ページ1





「ユンギヒョン」


来訪者を振り向いておきながらすぐに目を逸してしまったのは、目も眩むような人懐っこい笑顔がすぐそこで俺へと向けられていたからだ。


「あ、またそうやって意地悪する」

「何の用だ」


本当に意地が悪いのはどっちだか。

現にお前はそうやって、何の前触れもなく俺の心を揺さぶってるだろ。


「....明日、夏祭り、あるんですけど」


急に頼りなくなった背後の声。

その先に紡がれる言葉をひとつふたつと予想しながらぶっきらぼうに問いかける。


「けど、なんだ」

「.....いや、....やっぱり、なんでもないです」


ああ、くそ、本当にお前って奴は。

中途半端に俺の気持ちを誘って、中途半端に期待をさせておいて。


「そうか、済んだなら早く出てけ、作業進まねえ」


苛つくんだよ。

大袈裟にマウスの左クリックを連打してから、何の音も発していないヘッドホンを気だるげに装着する。

こうすれば、さすがのこいつも諦めることを俺は知っている。


「....わかりました。....ごめんなさい」


聞こえもしない音楽に聞き惚れる素振りをしながら愛しい声と足音を追う。

卑怯な技だって、そんなものばれなきゃ良い話だ。


「一緒に...二人きりで行きましょうよ....なんて、言いたかったんですけど」


あまりに切ない声が言うからって、振り向いてしまった俺が馬鹿だった。


「ほら、やっぱり意地悪だ」

「お前....」


まんまと引っ掛かった俺を見て、まるで分かっていたかのように清々しく笑うホソガ。


「卑怯じゃないですか?僕にばっかり」

「....わり」

「ふふ、良いですよ、許してあげます」


頬を丸くして可笑しそうに言うハート型の唇。

こんな面倒臭い野郎の茶番に付き合って、どこまでも馬鹿みたいに健気な奴。

.*→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (86 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
249人がお気に入り
設定タグ:BTS , BL
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

すぴやな(プロフ) - 塩茘枝さん» 塩茘枝こんにちは!いつもコメントありがとうございます。好きって言って貰えるのが一番嬉しいです笑 がんばります! (2020年8月21日 22時) (レス) id: 3b988406b4 (このIDを非表示/違反報告)
塩茘枝(プロフ) - こんにちは グクミンのケーキのやつ、とっても好きです!!更新頑張ってください! (2020年8月21日 20時) (レス) id: 9b30e15365 (このIDを非表示/違反報告)
セジュン(プロフ) - せつない…………煙草嫌いだけど純粋にぐっときた……めっちゃえもーしょなる…………… (2019年4月27日 7時) (レス) id: c623726b4a (このIDを非表示/違反報告)
すぴやな(プロフ) - ななさん» ひぇぇ....どれも私には勿体なさすぎる言葉です。ななさんありがとうございます...!!;; (2018年12月4日 22時) (レス) id: 3b988406b4 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - なんかもう、、表現の仕方がうまいというか 、プロというか、天才というか 、簡単にいって神ですかね 。 (2018年12月4日 20時) (レス) id: 9910436c5b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:すぴやな | 作成日時:2018年7月13日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。