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-Aside-


私も…

私もりょうくんが初恋だったよ。





『ごめん、なさい…』

やっと言葉になった声はなぜか震えていて。
どのくらい時間が経ったのかも分からなくて。

りょう「そっ…か。」

徐々に緩まる腕から冷たい風が吹き込んでくる。

少し距離をとって向かい合うけど
私は俯いたまま顔を上げられずにいた。


りょう「やっぱ…としみつ?笑」

『えっ…なん…』

りょう「分かるよ 笑」


少しバツの悪そうな顔で笑う彼に、敵う日はいつ来るのだろう。


『思い出したの…』

りょう「そっか。よかったじゃん?」

『昔も今も、変わってなかった。』

りょう「確かに根は変わってないね、としみつ。」

『私は…』


あの頃から、何一つ上手く出来ないまま。

素直に言葉にしたいだけなのに
自分の思いを伝えたいだけなのに

何一つ…言えないまま…


りょう「とりあえず中入ろっか。」

『ん…』


前を歩く背中が遠い。
かける言葉が見つからない。

こういう時、どうすればいいか分からない。


りょう「あ。」

『?』

りょう「俺、結構未練がましいとこあるから 笑」

『えっと…そ、れは…』

りょう「さ、帰るよ 笑」


気まずくならないようにしてくれてることが
十分過ぎるくらいに伝わってくる。

彼のことを好きになってたら多少未来は違ったのかな。


『りょうくん。』

りょう「ん?」

『私も…りょうくんが初恋だったよ。』

りょう「そっか、ありがとね。笑」


りょうくんは、ふっと笑ってまた前を向いて歩き始めた。


今日のことを少しでも忘れないように…
この青い世界を目に焼き付けた。

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moone(プロフ) - めばるさん» ほんとですか!!嬉しいですっありがとうございます!! (2018年12月6日 0時) (レス) id: f2a764fa72 (このIDを非表示/違反報告)
めばる - すっごく面白くてサクサク読んじゃいました…!続きが楽しみです! (2018年12月4日 10時) (レス) id: 9c14e4d140 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:moone | 作成日時:2018年11月24日 7時

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