弐拾玖 ページ32
視点なし
人になるべく見られないよう、屋根づたいに皇家を目指すゆら。
かもめ学園から皇家までは少し遠いが、まっすぐに行けば速い。
ゆら「はぁ…はぁ…花開院家のものです。楓さん、楓さんはいらっしゃいますか!?」
息も絶え絶えに、皇家の前に着いたゆらは門を叩きながら楓という人物を呼ぶ。
楓は、Aの母つまり2代目の治癒姫。
?「ゆらちゃん?どうしたの、今はあの子についてたんじゃ…」
ゆら「楓さんそれが、えらいことになって…とにかく今すぐ一緒に来てもらえませんか」
楓「…わかったわ。あの子に何かあって私が必要なのぬ。葛葉、家は頼みましたよ。私はゆらちゃんとあの子の学校へ行ってくるわ」
ゆら「ありがとうございます!」
葛葉「いってらっしゃいませ。奥様」
由良は再び、貪狼を召喚し楓と2人乗るとまた、来た道を戻った。
✳
信じられなかったけれど同時に、納得できるとこれもあった。
「お父様。これが、あの日起こったことなのですね」
父「そうだよ。祖父の代からの因縁でね……あの日早く帰るように言ったのは、しばらく冥府へ身を隠す予定でね。」
お爺様の代で何があったかはお祖父様が、お祖母様と一緒になる際に派手な大立回りをしたと聞いたことがある。
だぶん、そのことだと思います。
でも何より…
「それを、私が遅れてしまったから…私は殺されてしまったのですね。晴明と名乗る男の子に」
少しだけ、少しだけあまねさんに逢いたかった私が招いた結果。
?「そうでも、あなたはもう一度出会えた。」
「っ誰ですか!?」
先程まで居たお父様が消え、浄玻璃の鏡がある閻魔庁でもない。あたり一面暗くポツンと淡い光を放ち咲き誇る枝垂れ桜しかない空間に立っていました。その枝垂れ桜から声が聞こえる…まさか、月夜様?
?「久しぶりですね、A。あの日妖怪である私と人であるあなたが分かたれてから今日ここに至るまで」
「妖怪の私?」
枝垂れ桜に近づき上を見ると、私がいました。妖怪の私は私を見て手を差し出しながら微笑みました。
A「さぁ、時が来ました。共に止まっていた時間を動かしましょう」
戸惑う私に少し強引に手を掴み引いた。途端に血が沸騰したかのように熱くなりました。
父「A。覚醒おめでとうもっとちゃんとお祝いしてあげたいけど…」
「ありがとうございます。お父様、わかっております。続きはまた後で、楽しみにしております。」
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あかり - 面白くて続きが気になります!更新頑張って下さい!応援してます! (2021年5月31日 0時) (レス) id: 0c79b72284 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あや | 作成日時:2020年4月5日 22時