幼馴染なはずだった【佐野万次郎】

44.あの時の ページ45

あれから数日たってドラケンの様態も安定してきた



『本当にあんたらは昔っから危なっかしい！喧嘩にも限度あるの分からない！？』


そしてただいまお説教中です


マ「俺らが仕掛けたんじゃねぇーし」


『そこ！ぶつくさ言わない！』


ドラケンもマイキーもまたうるさいのが来たって顔で聞き流してる



『ほんとに心配したんだよ』


ド「…わりぃ」


ボロボロになってまで無茶をするドラケンにも


全部を抱え込もうとするマイキーにも



腹が立つ



『もう絶対』



2人の手を取ると不思議そうに私の顔をみるマイキーとドラケン




『無茶なことはしないで』



お願いだからと言うとマイキーもドラケンも真面目な顔をして分かったと言った



『はい、これお土産ね』


買ってきたフルーツを床頭台においてしばらく他愛もない話をした



マ「じゃあ俺ら帰るね」


『ちゃんとじっとしとくこと！筋トレとかしないでね』



そう言い残し病室を出た




久々にマイキーと二人きり



『ドラケン元気でよかったね！』


マ「うん！」



ミンミンと蝉のうるさい鳴き声だけが響く



マ「あのさ」



そんな時、話しかけたのはマイキーだった



マ「考えたんだ。あれからずっと。」



考えた



それはきっとあの時の答えなんだろう



『うん』



マ「…ごめん」


『え』



まさかだった



『それって？』



聞き間違い？


いまごめんって言った？



マ「俺、Aのこと好きだけど付き合えない」



何それ



好きだけど付き合えない？



昔見た少女漫画では初めは好きじゃなくても最終付き合う流れだった



だからきっと私もそうなんだと心のどこかで思ってた




『だめか…』



どうせ付き合えないなら



好きだけどなんて言われたくなかった



そんな少しの優しさはいらない



そんな優しさ欲しくない



マ「ごめん」



さっきよりもうるさく聞こえる蝉の声



『ううん！大丈夫！これからは元通りただの幼馴染だね！』



全然笑えない



けど、笑わないと




マイキーに悲しそうな顔をさせたくない



『あ！でもこれまで通り、家には行くからね！』



マイキーが何も気負わないように笑って涙が出そうなのを誤魔化した



マ「ありがとう」

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