幼馴染なはずだった【佐野万次郎】

36.生き地獄 ページ37

マイキーside


最初は寝てた



でも声が聞こえて目が覚めた



『なんでこんなにかっこいいの…』



こんなこと言われて目をあけられる？



いや、無理だ



開けられるわけが無い



俺が起きてるとも知らずに唇を触るA



思わずビクッとしそうになったけど何とか耐えた



『爆睡しちゃって』



といつも以上に優しい声色



目は閉じていて何も分からないけど鼻先が何かに当たるのと少しだけ鼻息がかかるのを感じた



きっとこれは顔が近くにある



直感でそう感じた



今すぐにでも目を開けてそのままキスしてしまおうかとも思った



待ってもなかなかこない唇の感触



そしたら『ねよ…』なんて俺に背を向ける




布団のスレる音が消えたのを確認してゆっくり目を開ける




「…っ」



生き地獄かよ…



こんなことがあってはもう睡眠どころじゃない




しばらく背を向けて寝息を立てるAをみてた



「そっちばっかむいてないでこっち向けよアホ」



何となくそう言った


そしたら聞こえてたんじゃないかってくらいのタイミングで



『ん〜』



こっちを向いた



「ふっ」



それがなんだか可愛く見えた



『マイ…キー…』


しかも俺の名前を呼びながら抱きついてきた



人形かなんかと勘違いしてないか？



さすがの俺も固まってしまう



どうしよ…



幸せそうに寝るA



顔に垂れた髪を耳にかけてやるとくすぐったそうに動く



もうただの幼馴染には見えない




「先にしようとしたのはそっちだからな…」




そう言ってそっとおでこにキスを落とした




「おやすみA」



そして俺はそのまま目を閉じ眠りについた

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