月と太陽〜Eunhyuk〜

17:自業自得 ページ17

*



ホテルに着いて。
オレはAに、自分の素性を全て明かした。


韓国でアイドルをしてるってこと。
ﾄﾞﾝﾍはそのグループの一員であること。
ｳﾆｮｸは芸名で、ﾋｮｸﾁｪが本名であること。


「呆れた」

「黙ってたのは悪かったと思ってる。
でも、オレを知らないキミにわざわざそんなこと言う必要もないかなって…」

「そうよね。どうせ通りすがりだし」

「そ、そんな言い方…」

「でもそうでしょ？休暇が終われば二度と会うこともない。
たかだか数日だし？隠しとけば後々面倒なこともないし」

「別にそんな風に思ってたわけじゃ…」

「じゃあどんな風に思ってたって言うの！？」


次第に声が大きくなって。


「じゃあ逆に聞くけどなんでそんな怒ってんの？
オレはそこまで怒られるようなウソ吐いてる？」

「…逆ギレ？」

「いや、その…」

「じゃあなんであんなことしたのよ…」


あんなこと……
観覧車でのキスのこと言ってる？


「あれは…」

「あぁ…あんたら芸能人だしね。あんなの平気で出来ちゃうわけだ」

「平気とかそんなわけないだろ」

「じゃあなに、退屈しのぎ？暇つぶし？」

「退屈しのぎでも暇つぶしでもない！」


どう言い訳したってキミの神経を逆なでするだけだってわかってる。
だけど……


「キミだってオレに本当のこと話してないだろ」

「……え？」


……ついカッとして。
言っちゃいけないことが口をついて出てた。


「どういうこと……？」

「え、いや……」

「なんでそんなこと……まさか…」

「………」

「信じられない……」


急に立ち上がってゲストルームに消えたAは、すぐにスーツケースを持って出てきた。


「どうするの」

「出て行く」

「待てよ、今からじゃどこも泊まれないだろ」

「じゃあ野宿でもなんでもするから」

「バカか！？そんなことできるわけないだろ！！」

「離してよ！」

「ダメだ！絶対行かせない」

「どうしようっていうの！？」

「どうもしない！ただ…心配だから」

「どうだか…」


キッとオレを睨みつけてるAの瞳には怒りとも悲しみとも受け取れる涙が溜まって
胸がギュッと締め付けられた。
どう考えたってオレが悪い。


「オレの素性だってバレてるのに何するって言うんだよ…」

「………入ってこないで！」


そう言い捨てるとAはゲストルームへと戻って乱暴にドアを閉めた。


「何やってんだオレは…」


自業自得だとは言え、また彼女との距離が広がった。



*

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