【刀剣乱舞】友達だから

風が吹く此所で ページ21

刀がカランと音を立てて落ちる。
鵺月の目を見て、言わないと。


斬ることは私には出来ない。
私のたった一人の友達を、斬れるものか。

だけど、このままにしておけば妖怪の被害が広がる。
それだけは避けなければならない。



だって、妖怪を倒す方法は・・・・宿主を斬る事しかない。
魂と妖怪を分離することも可能だが、私には絶対出来ない。



視界が滲む。私の頬には暖かい雫が伝う。
・・・・悲しいってこの事を云うのか。

瞼を閉じれば、笑う鵺月の顔が浮かぶ。
あの笑顔を見るのが私は好きだった。



自分と違って、くるくる回るあの表情が。
こんな人形みたいな表情の私より、貴女の方がよっぽど綺麗よ鵺月。


覚悟を決めよう。
私が出来ることをすると決めたんだ。




ここの皆のためにも。
貴女のためにも。



その瞬間、開けたままの障子の外から、風が吹いてくる。
その風にのって、何かが私の頭を撫でた気がした。






「・・・・鵺月。私、貴女にもう一度会いたいの。あの笑顔を、もう一度見せて。」





信成を握って、こう言った。

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