# ページ25
＊
そんな浅葱家に、一人の赤子が産まれる。
現当主の正妻が子を成せなかったことから、妾より取り上げられた子であった。
幼くも見目麗しいその幼子はすくすくと成長し、齢五歳頃まで大事に、大事に育てられた。
その幼子こそが、浅葱Aである。
彼は五歳の誕生日を迎えると、術師としての訓練や座学など。
凡そその歳の子供に教えるには早い教育を施され始めた。
始めのうちは順調に、スポンジのように様々な知識を吸収していったAだったが、自尊心や嫉みからくる正妻の陰湿な企みによって心を閉ざしていった。
そして七歳になる頃、彼の術式が判明した。
この瞬間こそが、彼の地獄の始まりだった。
＊
「こんなことも出来ないのかこの愚図が！！
今日はもうお仕置き部屋行きだ！」
『ごめんなさっ… ごめんなさいぃ！！
まだやれます！ やらせてくだ、』
「黙れ！！
ただでさえオマエには失望しているのだ！
これ以上手を煩わせるな！！」
ボクの術式とやらが分かると、今まで優しかった人達も急に手のひらを返してボクを"怒った"。
言われたことが一回でできなければ"お仕置き部屋"に連れて行かれた。
とくにボクをこの部屋に連れて来るのは、母さまと指南役の男。
二人はニヤニヤと下卑た笑みを浮かべ、紅潮している頬を隠しもせずにボクをたくさん"怒った"。
酷い時は傷も放置され、ご飯を抜かれる事もあった。
そんな日が何日も続き、幼かったボクでも分かるほどに家の人間はおかしくなっていった。
ところで、浅葱家の地下には牢のような場所がある。
そこに捕らえられているのは結界で閉じ込められ、弱った呪霊達。
なんでも実験用に売り渡したり、術師向けに飼い慣らしたり。
噂に聞いただけだが、酷い話じゃ呪詛師に売り渡して高額を稼いだりなんてのも聞いた。
近頃そんな噂が家の外にも広まっているせいで、明後日に正式な術師達が"視察"に来ることが決まっている。
家の者達は慌てて"それらしい"痕跡や売る予定だった呪霊を消そうと躍起になっている。
それでもその事は、幼かったボクには関係ない話だ。
……関係なかった、はずだった。
＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 369人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鈴奈(プロフ) - 猫築かなめさん» ありがとうございます！あんまり見かけなかったのでどうせ書くなら推しと仲良くしてほしくて…！！ちょっとずつな更新ですがまた見にきてくれると嬉しいです！ (2021年2月25日 0時) (
レス) id: 40c2c25718 (このIDを非表示/違反報告)
鈴奈(プロフ) - 雪マカロンさん» ありがとうございます〜！ちょこちょこ更新頑張ります！ (2021年2月25日 0時) (レス) id: 40c2c25718 (このIDを非表示/違反報告)
猫築かなめ - 面白いです！推しの狗巻先輩と相棒的な立ち位置は嬉しい！更新頑張ってください (2021年2月24日 20時) (レス) id: 8f5697df22 (このIDを非表示/違反報告)
雪マカロン - 続編おめでとうございます！これからも、更新頑張ってください！ (2021年2月24日 13時) (レス) id: c9091179e7 (このIDを非表示/違反報告)
鈴奈(プロフ) - 三隣亡さん» ありがとうございます！そんな風に言っていただけるととても書く気が湧きますね！！頑張って絞り出します！ (2021年2月22日 22時) (レス) id: 40c2c25718 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鈴奈 | 作成日時：2021年2月6日 15時
