# ページ42
*
Aは優しい。彼自身が思っている以上に。
いつだったか…。
後輩に質問されていた時には、
『極論、自分の周りの人以外は"どうでもいい"んだよな。非術師を"助けてるように見える"のは任務っていう仕事のついででしかない』
と言っていた癖に。
今まで一度だって見捨てるところを見た事がない。
しかしカッとなって頭に血が昇った自分に、彼は諭す様にこう言った。
『おあいこだった』と。
『それじゃ駄目なんだ』と。
狗巻はぐっと拳を握りしめた。
俯いていた顔を上げる。
それなら… 二の舞にならない様に、今回は自分が、──自分達がAを助けよう。
無言で歩き出した狗巻の、取り巻く雰囲気が変わったのをパンダは感じた。
狗巻「……いこう、パンダ」
パ「!! …おう!」
しかし余計な口は噤み、パンダも無言で足を進めた。
*
(──時は進み、特級と対峙するA。)
試しに圧縮してしまおうとしたが、動きが早くて捉えきれない。
…俺の術式と相性が悪い。
だが、それがなんだというのか。
捉えきれないなら、動きを鈍くさせるまで。
戯れにこちらに向かってくる特級と何度か武器を挟んで交差する。
防がれ、弾かれた勢いを利用して距離を取り、懐から複数キューブを取り出して投げる。
お馴染みクナイの雨だ。
それを囮に例の爆弾を足元からこっそり転がした。
何本かクナイが当たり、再生に気を取られている間に爆弾が爆発する。
その前にリビングから隣の寝室へ逃げ込み、扉を閉めて爆発の衝撃をやり過ごす。
音がやんで無音になったのでそっと扉を開けた。
煙が晴れて見えたのは…、
『!?』
無傷で笑う特級と、その周りを囲う半透明の黒い"結界"。
───ドクンッ
心臓が嫌な音をたてる。
…反射的に思い出したのは、自分の生家の術式。そして閉じ込められたこと。
『あ……っ』
こちらに手を翳すのが見える。
けれど体は動かない。
それどころか震え始めている。
何も出来ないまま、特級の周りを覆っていた結界が部屋全体に広がっていくのを見ていた。
それが済むと俺に向かってくる特級。
今度は咄嗟に横に転がって回避することができた。
間抜けにも壁に拳が嵌っているみたいなので、その隙にと頭部だけでも圧縮しようと手を握った。───が、
*
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鈴奈(プロフ) - 猫築かなめさん» ありがとうございます!あんまり見かけなかったのでどうせ書くなら推しと仲良くしてほしくて…!!ちょっとずつな更新ですがまた見にきてくれると嬉しいです! (2021年2月25日 0時) (レス) id: 40c2c25718 (このIDを非表示/違反報告)
鈴奈(プロフ) - 雪マカロンさん» ありがとうございます〜!ちょこちょこ更新頑張ります! (2021年2月25日 0時) (レス) id: 40c2c25718 (このIDを非表示/違反報告)
猫築かなめ - 面白いです!推しの狗巻先輩と相棒的な立ち位置は嬉しい!更新頑張ってください (2021年2月24日 20時) (レス) id: 8f5697df22 (このIDを非表示/違反報告)
雪マカロン - 続編おめでとうございます!これからも、更新頑張ってください! (2021年2月24日 13時) (レス) id: c9091179e7 (このIDを非表示/違反報告)
鈴奈(プロフ) - 三隣亡さん» ありがとうございます!そんな風に言っていただけるととても書く気が湧きますね!!頑張って絞り出します! (2021年2月22日 22時) (レス) id: 40c2c25718 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴奈 | 作成日時:2021年2月6日 15時