【超探偵事件簿】悪夢のち白昼夢【RAINCODE】 (ページ9)

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ヤ「さて、これで夜行探偵事務所に派遣されたメンバーは、全員揃った事になるな。
予定していた人数よりも、かなり少なくなってしまったようだが…」

…そう。
私達派遣された超探偵は、複数人ごとのグループに別れてこのカナイ区に向けて出発した。

ところが、そのいずれものグループも、所長の言う"保安部"の妨害に遭い、無傷で到着する事は出来ていない。

なんなら、全滅したグループもあったらしい。

私はハラちゃんと2人きりで此処までやってきたから、多少の強行手段と言う名の暴力沙汰も乗り越えられた。

…相手が武器を持ってるんだから、私だって使ってもいいもんね？

ヤ「…このカナイ区じゃ事件を解決したところで有名にはなれないぞ。
何しろ、保安部が情報を管理しているからな。連中に都合の悪い事実は、闇に葬られるだけだ…」

…所長の言葉に、改めて"保安部"について考えさせられる。

地区全体で絶対的な権力を持つ組織。

鎖国しているとは言え、私達のような正式な形で招かれた部外者でさえも排除しようとするその潔癖なまでの"保安"精神。

目的と手段を履き違えているようなちぐはぐさを感じるのは気のせいだろうか？

ハ「で、世界探偵機構が超探偵をカナイ区に集めた理由は？
僕らに何をさせようとしている？」

ハラちゃんの口にした疑問は、此処に集まった誰しもが少なからず思っている事であろう。

何せ私達はカナイ区への招集指示を受けただけで、理由などの根源的な事は何一つ説明を受けていないのだから。

ヤ「いや、世界探偵機構が何を考えてるかは知らないんだ。オレも急に言われただけだから」

『世界探偵機構からの連絡はないんですか？』

ヤ「今のところ、まだ何も。
そのうち連絡あるとは思うんだけど…」

所長すら知らされてないなんて…。

このまま追加の指示がなければ、何の為に危険な目に遭ってまでカナイ区に来たんだか。

知らずのうちに溜息が漏れる。

そんな私の不安や疲労を感じ取ったのだろう… ハラちゃんが膝の上に置いていた私の手を握ってくれた。

思わず俯きがちだった顔を上げると、かちり、と交わる視線。

言葉にしなくても、ありがとうと伝わったらいい。
そう考えれば、自然と微笑んでいて。

そんな私の表情を見たハラちゃんも、仕方がないな、というように小さく微笑んでくれた。

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