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ハ「僕の勝ちだな、この金は頂くぞ」
マイペースにテーブルの上のお金に手を伸ばすハラちゃんに、デスヒコくんの制止の声が掛かる。
彼は所長が入ってきたのはノーカンだと主張するが、ハラちゃんは用事で出かけた所長が帰ってくるのは想定内だとし、船が浮上したタイミングで 帰ってきたことにも気付けたはずだ、と言った。
さすがハラちゃん。
どんな時でもまわりをよく見てる。
…まぁさっきのは流石に私でも気付けたけど。
ハ「…僕のロジックに不可能はない」
困惑した様子でこちらを伺う見習いくん。
所長は船内は火気厳禁だと言うけれど、アナタがタバコを咥えているから説得力がないのでは…？と思いつつ、口には出さなかった。
ハ「なに、ちょっとしたゲームさ。
彼が1本ずつマッチを擦って、10回連続で火を灯す事ができたら、彼の勝ち。
もし1回でも失敗したら、僕の勝ち。
そして彼は失敗した。だから、この金は僕が貰うんだ」
デ「いや、火はついたろ！
けど、所長がドアを開けたせいで風が吹いて消えたんだ！
火をつける事には成功してるんだからゲームは続行だ！
えっと… 次は7本目だっけ？」
デスヒコくんは立会人であるフブキちゃんに視線を向け、テーブルに並べたチョコの数を数えるように指示した。
彼女はゆっくりと指を指しながらチョコを数えるが、その指でチョコを摘んで口へと運ぶ。
既に何個か減っており、デスヒコくんに問い詰められたフブキちゃんは 必死に3の次の数字を思い出そうとしている。
きっとハラちゃんは、ここまでの流れを予想した上で デスヒコくんに賭けを持ち掛けたのだろう。
所長がもうすぐ帰ってくる事から、立会人がフブキちゃんになれば、集計が有耶無耶になる事まで。
幼馴染ながら、恐ろしく感じてしまうくらい綿密なロジックだと思う。
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作者名：鈴奈 | 作成日時：2023年7月12日 1時
