番外編・子供の神隠し2 ページ45
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掴まれたままだった手をそのまま握る形で引っ張られて、歩き出す。
『ヴィヴィアくん…？ あの、手…』
ヴィ「あぁ、駄目だった？」
『駄目じゃないけど…』
優しく、いつでも解けるように握られた手を、戸惑いから力を入れて握り返す。
チラリと顔を上げると、優しい目付きをしているヴィヴィアくんと目が合う。
それすら嬉しくて堪らない というように、目尻を下げて微笑まれた。
──あぁ、また絆された。
＊
ギンマ地区に入って、美術館の前を通りかかった時だった。
憔悴した様子で何かを話す夫婦が目に入る。
聞こえてきたワードの中には、あの子、どこにいった、など 迷子の子を探しているような会話内容があり、つい立ち止まってしまった。
…もし本当に迷子なら、私の探偵特殊能力が役にたつ。
足を止めてしまった事で、手を繋いだままだったヴィヴィアくんも夫婦の様子に気付く。
そして、私から言い出す前に ヴィヴィアくんの方から提案してきた。
ヴィ「…Aちゃん、あの人達を助けたいんだね」
『、…うん。助けてあげたい。少しだけ、時間をもらってもいいかな？』
ヴィヴィアくんは目尻を優しく緩めると、「もちろん」と肯定してくれた。
ヴィ「私も付き合うよ。一緒に居られる時間が増えるしね」
『もうっ！ 嬉しいけど…、そうやって相手を勘違いさせるような事は言わなくていいから！』
ふい、と顔を背けて、繋いだ手を引いて 夫婦の元へ話しかけに行く。
──きっと、また顔が赤くなっているのはバレているんだろうけど。
＊
夫婦から話を伺った後で、カマサキ地区に引き返した。
どうやら やはり迷子になってしまったお子さんを探していたらしく。
お子さんの持ち物だと言うぬいぐるみを視せてもらい、同じオーラを辿ってここまで来ていた。
『それにしても… "神隠し"か』
夫婦が憔悴した様子だったのは、訳があった。
近頃この周辺で、いつの間にか子供がいなくなってしまう"神隠し"事件が複数起きており、いずれの事件でもまだ子供達は帰ってきていないのだと言う。
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作者名：鈴奈 | 作成日時：2023年7月12日 1時
