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ぱちり。
重なった視線から、瞬きが一回。
僅かに見開いた目は、ゆるりと目尻を下げて。
ヴィ「…それは、嬉しいな」
下がった目尻の周り、メイクでわかりにくいけれど 少しだけ赤く染まったその表情が。
私の推測に拍車を掛けること、彼は理解しているのだろうか。
＊
潜水艦が地上へ浮上した衝撃で、少し揺れる。
所長が戻ってきたのだろう。
今回招集された"最後"の生き残り───、
見習い探偵を連れて。
デスヒコくんが一瞬「うおっ」と体制を崩す声でそちらを見やるも、彼自身は気にした様子無く賭け事に集中している。
一方で、こちらを心配してくれたハラちゃんが 私とヴィヴィアくんの距離の近さに眉を顰めたのもわかった。
咄嗟に逸らした視線の先で、またヴィヴィアくんと視線がかち合う。
彼にもハラちゃんの表情が見えたのだろう。
何も言わずに一瞬、目を細めると 肩をすくめて暖炉の中へと戻っていった。
そのタイミングで、談話スペースの扉が開く。
所長に続いて入ってきたのは、デスヒコ君と同じくらいの身長のかわいい系の男の子と───、
炎のように揺らめく、実体のない幽霊のようなものだった。
動揺で少し立ち上がりかけたが、悟られないようにそのままハラちゃんの座るソファの肘掛けに腰掛ける。
男の子… おそらく見習いくんは、部屋の中を見回すと 傍らに浮いているその幽霊に視線を向けた。
──認識してるんだ。
その動作で、彼が何も知らずに取り憑かれているワケではないことを察する。
それならすぐに対処する必要はないかな。
人知れず溜息が漏れそうになったところで、所長が喋りだした。
ヤ「みんな、お待たせー。最後の新メンバーの到着だ」
デ「うぉおおい！ いきなりドア開けんなっ！」
ヤ「ご、ごめん！」
デスヒコくんの勢いに、思わず謝っちゃった所長。
でもすぐにハッと気付いて、「ここ、オレの事務所なんだけど！？」とツッコんだ。
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作者名：鈴奈 | 作成日時：2023年7月12日 1時
