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自信満々の私達に、所長は諦めてこの件を一任してくれた。
ヤ「はぁ… なんだかよくわからないけど、もうお前達に任せるしかないみたいだな…。
教会に行きたいんだって?
ほら、教会への行き方は地図に書いといてやる!
オレは一緒に行動しない方がいいだろう…」
『見つかったら、もっと酷い目に遭いそうですもんね』
ヤ「怖い事言うなよ…!
ここで良い知らせを待ってるからな!
頼んだぞ!」
ユーマくんが地図を受け取ったのを見届けて、踵を返す。
無駄にできる時間はない。迅速に移動しなければ。
ヤ「3時間だぞ! 3時間で事件を解決してこいよっ!」
その声を聞いて 最後にチラリと振り返ると、懐から写真を取り出した所長が何かを呟いていたが、流石にこちらまでは聞こえなかった。
ユーマくんから地図を預かり、先頭を走るハラちゃん。
ハ「教会へは、カマサキ地区から行けるようだ。時間は限られているぞ」
死「さぁ、急ぐよー!」
ハラちゃんに続いて、私達も走り出した。
*
長い階段を登ると、立派な門構え。
空が暗いせいで、ゴシックな雰囲気を助長された教会が見えた。
ステンドグラスが怪しく赤色に光り、都市伝説を思い出すと 不気味にしか思えない。
ユ「ここが… "クギ男"の都市伝説が生まれた教会ですね」
死「ゆ、幽霊とか… 出ないよね…? 大丈夫だよね…?」
幽霊(仮)のセリフにツッコミたいのを我慢しつつ、斜め前に立つハラちゃんをチラリと確認する。
案の定、不機嫌そうに眉間に皺を寄せていた。
無言のハラちゃんに、ユーマくんも様子がおかしいと気付く。
ユ「…どうしたんですか? ハララさん」
ハ「僕は教会が嫌いでね。
まったく価値を見い出せない場所だよ」
ユ「…え?なんでですか? 」
ハ「"祈り"は"支払い"に劣る…
この街で起きた惨劇をみれば明らかだろう。
救いの神など、どこにもいない…
迷える子羊は探偵を頼るべきだと思わないか?」
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作者名:鈴奈 | 作成日時:2023年7月12日 1時