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ユ「そう言えば所長の事を忘れてた！
みんなを集めて来いって言われたきりだった！
二人とも、いったん事務所に寄ってください！ 集合時間はとっくに過ぎちゃいましたけど！」
ハ「…まぁ、いいだろう。
ついでに、所長に道案内を頼むとしよう」
呆れたように立ち上がるハラちゃんに続いて、私も立ち上がる。
飲み終わったカップをそのままに、焦るユーマくんの後を追って店を出た。
＊
──地下道を通り、河川敷に出ようとした時。
先頭を歩いていたハラちゃんが、片手を伸ばして 私達にストップをかけた。
ハ「保安部だ、身を隠せ」
『！』
ユ「え？ あっ、はい！」
身を屈めて、物陰に隠れる。
ハラちゃんが少し強引に、私の肩を抱いた。
ユ「しょ、所長！？
それに、あの保安部の人は時計塔にもいた…」
片目を隠した髪型に、モノクル。
ポンチョ型のレインコートを羽織った、声の小さい男性。
近くにいる保安部の人に、拡声器を持たせて喋るその姿は…、
『セス＝バロウズさん… かな』
ハ「だろうな。保安部の幹部だ。
陰険でしつこい人物だと街でも評判らしい」
ハラちゃんなりの皮肉だ。
静かにして話を聞いていると、所長に一方的に約束を取り付けて 保安部は全員去っていった。
手に持っていた花が枯れるまでの約3時間。
それまでに、クギ男事件に介入した探偵… つまり私達を見つけ、保安部に引き渡せなければ 船を沈めると脅しをかけて。
ハ「行ったようだな」
ユ「ヤコウ所長！ 大丈夫ですか！？」
保安部が見えなくなったのを確認し、所長の前に姿を見せる。
所長の顔は青褪めていた。
ヤ「あ、あぁ… ユーマ。それにハララにAも。
いや、参ったよ… マズイ事になった。
たった今、保安部の連中が来てさ…」
ハ「把握している」
『実は見てたんです、私達』
ヤ「え！？ 見てたの！？
だったら、助けてくれても… って、ちょっと待て。もしかして、あいつらの言ってた探偵って…」
ユ「す、すみません。話せば長くなるんですけど、ボク達の事だと思います…」
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作者名：鈴奈 | 作成日時：2023年7月12日 1時
