【超探偵事件簿】悪夢のち白昼夢【RAINCODE】 (ページ4)

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無防備だな。とぼんやり彼女を見つめながら、その頬に手を伸ばす。

平常時より幾分か青白いその顔は、無理に笑ってこちらに心配をかけまいとしていた。

流石の私でも、病人に邪な手出しをするほど落ちぶれてはいないつもりだけど…、

…嗚呼、でも。

俯いた彼女の美しい髪のカーテンの隙間から、耳が赤く染まっているのが見える。

それだけで、自分のものとは思えないくらい忙しなく動き始める鼓動。

自然と緩くなる口角。

──もっと私を意識して。

私のことを考えて。

私だけを見て。

────早く、同じところまで堕ちてきて。

…なんて。

こんなことを考えて君に触れている時点で、やはり自分はどうしようもない。

触れる資格もない程に下心が肥大した打算的な"男"だ。

──それでも。

今はもう、彼女の側を離れることが出来ない。

そしてそれは、必ずしも物理的な距離を表しているのではない。

ココロまで美しい彼女では、自分に似合わないのはわかっている。

──それならば。

彼女も自分と同じところまで、堕ちてくるのを待つだけだ。

触れたままだった頬から、赤く染まっている耳へと手を伸ばしそっと輪郭に添うように、ギリギリ触れないくらいに指で撫でた。

ヴィ「耳が赤いね、Aちゃん」

…耳元で囁くのを忘れずに。

──ただ待っているだけでは、変化は訪れないから。

＊

『！？』

ヴィヴィアくん、今なんと…？？

私が羞恥で俯いたのに気付いていて、わざと指摘してきたの？

今までの彼とは一転して、意地悪な言動に混乱する。

どちらかといえば今日までは、私に甘えてくれて、それでご満悦。みたいなかんじだったから。

…だから、気の抜けた口から要らぬセリフが出ていったことにも気付かなかった。

『………ヴィヴィアくんのせいなんだから』

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お互いに美しいと思いあっている時点で、隣に立っているのにね。
まぁそれが必ずしも愛や恋とは限りませんが。

愛が重そうだな、ヴィヴィアくん。
そんなヴィヴィアくんから"さん"ではなく、"ちゃん"付けで名前呼ばれてぇ…！！
という私の趣味嗜好でこちらの御噺ではちゃん呼びになってます。
見た目に反して穏やかな喋り方をするヴィヴィアくんだから、案外違和感ない気がします。

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