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その話を聞いて合点がいく。
何故こんなに小さな子が保安部に絡まれていたのか。
この子は、捕まったクギ男の息子さんだ。
ユ「お父さんを取り返して欲しいって… どういう事？」
「父さんは… この時計塔で起きた事件の犯人として、保安部に捕まってしまったんです」
ユ「えっ！？ キミのお父さんが！？」
『…やっぱり』
思わず漏れた小さな声に、ハラちゃんは一瞬 チラリとこちらを見た。
ユ「でも、父さんは時計塔の修理をしに来ただけで、事件とは何も関係ないんです！」
それって…、
『誤認逮捕…？』
ユ「じゃあ… キミのお父さんはまったくの無実なのに、"クギ男"にされたって事？」
「父さんが人を殺したりするはずありません！ そんな事する理由がないんです！
だから、お願いします！
あいつらから… 父さんを取り返してください！」
ここで感情任せに「わかった、任せて！」と、言うだけなら簡単だ。
だけど現段階では、保安部が杜撰な捜査で誤認逮捕をしたのか。
それともこの男の子が、父親の犯行を認めたくないだけなのか。
判断材料が足りない。
私達にとってはどっちも初対面で、すぐに信用する程の関係値もない。
(…気持ちだけなら、男の子を信じたいけれど。)
──なら、何を基準に判断し、依頼を引き受けるか。
ハ「父親の無実を証明して欲しい… という事だな？ それは依頼か？」
「…依頼？」
男の子は首を傾げている。
わかりやすく説明してあげるとするなら…
『聞いたことないかな？
お姉さん達は、探偵なんだ。世界探偵機構所属のね』
「探偵さん…！ このカナイ区にも居たんだ！
…あいつらを一瞬でやっつけたお兄さん達なら、それができるんじゃないかと思って…」
ハ「いくら用意できる？」
──そう。
下世話な話、一番わかりやすい基準は"お金"だ。
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作者名：鈴奈 | 作成日時：2023年7月12日 1時
