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瞬時に状況を把握すると、腰に付けてるベルトポーチから目的の物を取り出して片手に握り、勢いよく振り下ろす。
伸縮式の警棒が準備できたのを確認すると、背後からハラちゃんを殴ろうとしていた保安部の警棒を、私の警棒で受け止めた。
『っお待たせ、ハラちゃん！』
ハ「A！」 ユ「Aさん！？」
『説明は後！…で、いいんだよね？』
ハ「あぁ、まずはコイツらを片付ける」
『おっけ！』
拮抗していた押し合いを終わらせる為、相手の脛を蹴り上げて隙を作り、警棒を持つ手をこちらの警棒で殴りつける。
手の届かない場所まで飛んでいったのを視界の端に捉え、ハラちゃんが背後から退いたのを感じて 上段回し蹴りで気絶させた。
その後もハラちゃんと入れ替わり、立ち替わりで保安部の人達を気絶させていく。
ユ「二人とも凄い…」
死「やるねー、とんでもないコンビネーション! ご主人様とは大違い!」
相手が警棒などの武器を所持している場合は私が、無力化させた後はハラちゃんに任せる。
適材適所でその場にいた保安部の人達を全員片付けると、ユーマくん達に目を向けた。
ハ「身の程知らずの正義感は、コイン1枚よりも価値がないぞ」
屈んでコインを拾うハラちゃん。
ハ「命に関わる事だ、覚えておくといい」
ユ「は、はい… すみませんでした」
萎縮するユーマくんに苦笑いを溢し、ポーチからハンカチを取り出す。
怖かっただろうに、自分の足できちんと立っている男の子の前にしゃがんで、頬に付いた泥を落としてあげた。
「あ、あのっ！」
『偉いね、怖かったでしょう？ もう大丈夫だからね。』
安心させるように微笑んで、頭を撫でてあげる。
男の子は照れたように笑い、「ありがとう、お姉さん」と言ってくれた。
死「初恋キラーだねー、アレは」
ユ「大丈夫？ ケガとかない？」
男の子は私達全員を見回すと、意を決したように喋り出した。
「お、お願いします… 父さんを…
父さんをあいつらから取り返してくださいっ！
どうかお願いします！」
ユ「…え？」
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作者名：鈴奈 | 作成日時：2023年7月12日 1時
