【超探偵事件簿】悪夢のち白昼夢【RAINCODE】 (ページ3)

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『…えっ…とぉ、何、かな。ヴィヴィアくん』

みんなに注目されないよう、小声で話しかける。

彼はその視線を私に向けたまま、ゆっくりとした動作で暖炉の中から這い出てくる。

他のみんなが気にならないくらい静かに、衣擦れの音すら聞こえないくらい酷く緩慢な動作で、私の前にちょこんと達磨座りをする。

そのまま高い身長に見合う長い腕の片方を伸ばして、私の頬にそっと触れた。

ヴィ「…Aちゃん、体調悪いんじゃない？」

覗き込むように首を傾げて、もう片方の手は膝の上に。

全てわかっているよ、とでも言うように彼もまた小声だった。

実は、ヴィヴィアくんとも"はじめまして"ではない。

探偵特殊能力の関係上、何度か一緒に事件を解決したこともあった。

今ではパーソナルスペースも随分狭くなり、二人きりの時には私の膝枕を所望してくれるまでに仲良くなった。

───けれど。

涼しい顔で目尻を緩めて微笑むヴィヴィアくんに対して、私のほうはこの距離に疑問を感じている。

そして、毎度のことながらヴィヴィアくんの顔を直視出来なくて、顔が赤くなる前に逸らすので精一杯になってしまっていた。

だってしょうがないじゃない！

家族とハラちゃん以外に、こんな距離感で接する人なんていなかった。

しかもヴィヴィアくんは異性で、服もその…

とっとにかく！
美しいものが好きな私は、例外なくヴィヴィアくんも好きなのだけれど。

このままでは"別の意味"で好きになってしまいそうでドギマギして、最近では挙動不審がちになっていた。

そしてそれは今だって。

『…ばれちゃった。みんなには内緒ね』

頬が赤くならないよう、苦笑して人差し指を立て、口の前に持ってくる。

そのまま自然な動作で、俯くフリをした。

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