81. ページ31
.
夜十一時、三人は談話室でロンに別れを告げ、ネビルと一緒に玄関ホールへ向かった。フィルチとドラコはもう来ていた。
「ついて来い」
フィルチはランプを灯し、先に外に出た。
真っ暗な校庭を横切って一行は歩いた。
月は晃々と明るかったが、時折サッと雲がかかり、あたりを闇にした。行く手に、ルナたちはハグリッドの小屋の窓の明かりを見た。遠くから大声が聞こえた。
「フィルチか？ 急いでくれ。俺はもう出発したい」
ハリーがホッとした表情になったとたん、フィルチは意地悪く言った。
「坊や、もう一度よく考えたほうがいいねぇ……君たちがこれから行くのは、森の中だ。もし全員無傷で戻ってきたら私の見込み違いだがね」
とたんにネビルは低いうめき声を上げ、ドラコもその場でピタッと動かなくなった。ルナとハーマイオニーは互いの頭が触れるほどまで身を寄せた。
『森の深いところには立ち入ってはいけないはず……』
「そんなところ……狼男だとかがいるんだろう？」
「そんなことは今さら言っても仕方がないねぇ」
ハグリッドがファングをすぐ後ろに従えて暗闇の中から大股で現れた。大きな石弓を持ち、肩に矢立を背負っている。
「おまえの役目はもう終わりだ。ここからは俺が引き受ける」
「夜明けに戻ってくるよ。こいつらの体の残ってる部分だけ引き取りにくるさ」
フィルチは嫌味たっぷりにそう言うと、城に帰って行った。今度はドラコがハグリッドに向かって言った。
「僕は森には行かない」
「ホグワーツに残りたいなら行かねばならん」
「でも、森に行くのは召使いがすることだよ。もし僕がこんなことをするってパパが知ったら、きっと……」
『あら、それなら私が直接ルシウスさんに手紙を送るわ。これがホグワーツの流儀ですって。ルシウスさんもホグワーツの卒業生だし、そのあたりは把握済みのはずだけれど？』
ドラコは動かなかった。ルナをひと睨みすると、視線を落とした。
「よーし、それじゃ、よく聞いてくれ。みんな軽はずみなことをしちゃいかん。しばらくはわしについて来てくれ」
ハグリッドが先頭に立って、森のはずれまでやってきた。ランプを高く掲げ、ハグリッドは細い曲がりくねった獣道を指さした。森の中をのぞき込むと一陣の風がみんなの髪を逆立てた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 115人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
セレーネ(プロフ) - マニ。さん» 最高だなんてもったいないお言葉、ありがとうございます！ボードの件ですが、リアルの関係で浮上率が低くなってきており、ご迷惑をおかけしてしまうと思いますので、お断りさせていただきます。これからも、こちらの作品をよろしくお願いいたします！ (1月30日 0時) (
レス) id: 69f9028131 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - セレーネさん» ✉️。こんにちは！ハリポタ作品最高過ぎて受験の癒しとしてよく見ています！これからも体調の方とか気をつけて頑張ってください！嫌じゃなければ一緒にボードで会話しませんか？これからも更新応援してます！💖、セレーネさん。☺️ (1月27日 18時) (レス) id: c4b8377817 (このIDを非表示/違反報告)
セレーネ(プロフ) - クラゲさん» 大好きだと言っていただけてとても嬉しいです…！これからも頑張って更新していきますので、よろしくお願いいたします！ (1月15日 0時) (レス) id: 69f9028131 (このIDを非表示/違反報告)
クラゲ - 大好きな作品です！とても書くのが上手くて尊敬します！更新楽しみに待ってます！！ (1月13日 23時) (レス) @page16 id: a121ad2e0e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：セレーネ | 作成日時：2023年11月20日 20時
