68. ページ18
.
次の日の昼過ぎ、ロンとハーマイオニーは更衣室の外で「幸運を祈る」とルナとハリーを見送った。ルナの心には、ずっと昨晩のドラコの言葉が引っかかっていた。試合直前だと言うのに、気分は上がらなかった。
クィディッチ競技場には、まさかのダンブルドアまでもが観戦に出てきていた。プレイ・ボールからすぐに、ジョージがブラッジャーをスネイプの方に打ったという理由で、スネイプがハッフルパフにペナルティー・シュートを与えたところだった。
点を取り戻そうと、ドラコのことを頭の隅に追いやって、ルナは無我夢中でクアッフルを追いかけることだけを考えた。
スネイプが何の理由もなくハッフルパフにペナルティー・シュートを与えた。スネイプの脅威のハッフルパフひいきに、ルナは手も足も出なかった。いや、グリフィンドールがクアッフルを持つ前にスネイプがハッフルパフにペナルティー・シュートを与えていくからということが原因である。しかし、それはルナ一人で変えられるようなことではなかった。
普段冷静なルナにも試合展開に焦りが出始めた頃、観客席からハーマイオニーの叫びが聞こえた。
「ロン！ ハリーが！」
「何？ どこ？」
ハリーが突然ものすごい急降下を始めた。そのすばらしさに観衆は息をのみ、大歓声を上げた。ハリーは弾丸のように一直線に地上に向かって突っ込んで行く。
空中では、スネイプがふと箒の向きを変えたとたん、耳元を紅の閃光がかすめていった。ほんの数センチの間だった。次の瞬間、ハリーは急降下を止め、意気揚々と手を挙げた。その手にはスニッチが握られていた。
勝利の喜びと興奮が湧き起こるのと同時に、ルナの中でもうひとつの感情が揺れ動いていた。
――この試合、私は一体何をしていたの？
スネイプが審判だったといえど、ハッフルパフに得点を許した。ハリーがスニッチを取ってくれなかったらどうなっていたことか……そして、ルナはこの試合、一度もクアッフルを触っていない。そのことに気づいた瞬間、心臓が鉛のように重くなり、このまま地上へ堕ちてしまいそうだった。
選手が地上に飛び降りたハリーの近くに着陸し、共に喜びを分かち合っている――ルナは輪から少し離れた場所に降り立ち、その場から去った。
「ルナ？」
駆け寄る観衆の間からチラリと見えた乳白色の少女にかけたハリーの声は、大歓声に揉まれて消えていった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 115人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
セレーネ(プロフ) - マニ。さん» 最高だなんてもったいないお言葉、ありがとうございます！ボードの件ですが、リアルの関係で浮上率が低くなってきており、ご迷惑をおかけしてしまうと思いますので、お断りさせていただきます。これからも、こちらの作品をよろしくお願いいたします！ (1月30日 0時) (
レス) id: 69f9028131 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - セレーネさん» ✉️。こんにちは！ハリポタ作品最高過ぎて受験の癒しとしてよく見ています！これからも体調の方とか気をつけて頑張ってください！嫌じゃなければ一緒にボードで会話しませんか？これからも更新応援してます！💖、セレーネさん。☺️ (1月27日 18時) (レス) id: c4b8377817 (このIDを非表示/違反報告)
セレーネ(プロフ) - クラゲさん» 大好きだと言っていただけてとても嬉しいです…！これからも頑張って更新していきますので、よろしくお願いいたします！ (1月15日 0時) (レス) id: 69f9028131 (このIDを非表示/違反報告)
クラゲ - 大好きな作品です！とても書くのが上手くて尊敬します！更新楽しみに待ってます！！ (1月13日 23時) (レス) @page16 id: a121ad2e0e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：セレーネ | 作成日時：2023年11月20日 20時
