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そこは昔使われていた教室のようだった。しかし、反対側の壁には見事な鏡が立てかけてあった。金の装飾の枠の上の方に字が彫ってある。
――すつうを みぞの のろここ のたなあ くなはで おか のたなあ はしたわ――
ルナが距離をとったまま眺めていると、ハリーが何かに吸い寄せられるようにふらふらと鏡へ近づいていった。鏡の前に立ったハリーは、すぐに後ろを振り返った。ルナを見たのではない――まるで希望を探るような瞳だ。しばらくすると、ハリーは鏡に手を伸ばし、ささやいた。
「ママ？ パパ？」
ハリーがくるっと振り返った。今度はルナの瞳をとらえている。
「見てよ。僕の家族だ！」
――ハリーの家族？
怪しくて仕方がない。真実なわけがない。だって、ハリーの両親は――。
それなのに、ルナの体は鏡に吸い寄せられていく。鏡の前に立つと、ただでさえ静かな夜の音が遮断されたように一切聞こえなくなった。まるで、鏡とルナのふたつしか存在しない世界のようだった。
次の瞬間、ルナは自分の目を疑った。鏡の中から誰かが見つめ返している――それも、一人ではない。しかも、その影をルナは知っている――。
琥珀色と空色の瞳が優しく微笑み、ルナを見つめていた。ずっと写真で恋しく眺めていたふたりだ。間違いない。間違えるはずがない。だって、このふたりは、自分の父と母だ――。
――「ルナ」
――「ルナ」
あぁ。そうだ、ふたりの声はこの優しく心に響くような穏やかな声だった。ルナがずっと求めていたものだ。今すぐにでも振り返って、父と母の名を呼び、10年分の気持ちを、全て体現するように抱きつきたい。そうすれば、きっと、父と母は昔のように自分に伝えてくれる。いつしかの思い出のように、「愛してる」と。
『……父様、母様』
そうささやきかけると、ふたりはルナの肩にそっと手を置いた。その瞬間、ルナの心の中で何かが壊れた。
――何の感覚もない。肩に手なんか、置かれていない。父と母は、いない……。
どうしてこんなにわかりきったことを忘れていたのだろうか。一瞬でも、「愛される」ことを期待してしまった。
一握りの希望を自ら踏み躙るように、ルナは鏡を背にした。
『もう行きましょう』
「ルナ、何が見えたの？」
鮮やかな緑の瞳を冷たく見上げ、呟いた言葉はこの空間に虚しく響いた。
『――信じたくても信じられないものよ』
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セレーネ(プロフ) - マニ。さん» 最高だなんてもったいないお言葉、ありがとうございます！ボードの件ですが、リアルの関係で浮上率が低くなってきており、ご迷惑をおかけしてしまうと思いますので、お断りさせていただきます。これからも、こちらの作品をよろしくお願いいたします！ (1月30日 0時) (
レス) id: 69f9028131 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - セレーネさん» ✉️。こんにちは！ハリポタ作品最高過ぎて受験の癒しとしてよく見ています！これからも体調の方とか気をつけて頑張ってください！嫌じゃなければ一緒にボードで会話しませんか？これからも更新応援してます！💖、セレーネさん。☺️ (1月27日 18時) (レス) id: c4b8377817 (このIDを非表示/違反報告)
セレーネ(プロフ) - クラゲさん» 大好きだと言っていただけてとても嬉しいです…！これからも頑張って更新していきますので、よろしくお願いいたします！ (1月15日 0時) (レス) id: 69f9028131 (このIDを非表示/違反報告)
クラゲ - 大好きな作品です！とても書くのが上手くて尊敬します！更新楽しみに待ってます！！ (1月13日 23時) (レス) @page16 id: a121ad2e0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セレーネ | 作成日時：2023年11月20日 20時
