最強と最狂2【呪術廻戦】

45 ページ5

.







手を合わせるのが終わると
しばらくAはそこに佇む。











何も話さずにじっと墓を見つめる。
Aの震える手を片方だけ取り
そのまま指を絡めて自分のコートのポケットに入れる。














酷く、冷たい。
その手をぎゅっと握りしめる。



















PTSDの原因となった事件。
呪力が爆発して血を染めて高専に来るきっかけになった。


















お前の目に映っているものは何だろうか。
酷い虐待を受けてきたのに毎年必ず訪れる意味は。



















『悟、ちょっといい？』
















今年は違った言葉。
いつもなら『行こっか。』なのに。














『俺は、手を染めてしまった
自分に対する怒りと虚しさがずっと取れない。
でも今こうして高専にいること、後悔はしていない。
悟に会えたからね。』













初めて思いを聞いた。
Aはあまりにも優しくて怖くなる時がある。












酷い虐待を受け刃物まで向けられたのに
それでも今も自分に対して怒りがあるなんて。












きっと切り裂けるような、
燃えるような火傷を心に負っているのにそれでも。

















『救えないものもあったけれど
救うことができた命がたくさんあった。
それが罪滅ぼしになんてならないけど。
俺はそれで十分なんだ。だから俺は、
今ここにある自分の環境に感謝しているよ。』
















感謝してるんだよ、悟。
悟に出会えてやっと人生が始まったんだ。













悟には、
自分や他人を恨むことのない人生を送ってほしいんだ。

46→←44

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す