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目の前でぎゅっと長い間手を合わせ、
ろうそくをふっと吹いたA。
初めてだと言った。
こうして誕生日にろうそくを吹くのを。
自分のために手を合わせることなんて
今まで一度もなかったと思うと胸が痛んだ。
Aにとって誕生日は
あまりいいものではなかったんだろう。
毎年必ず任務を入れてその日には帰って来なかった。
誕生日を迎えるとその日には祝いの言葉ではなく
呪いの言葉を言われたらしい。
おめでとうじゃなくて、
''出来損ないがどうして生まれてきたのか''と。
だから特別な日にしたかったんだ。
生まれてきてくれて、そばにいてくれてありがとうと。
五条「なんて祈った?」
『んー?
悟が幸せに暮らせますように。』
五条「俺たちがの間違えだろ。
知ってた?そういうのって口に出したらダメらしい。」
『ふーん、そういうの信じないからな。
そうだ悟。俺からもプレゼントがあるんだ。』
五条「へ、マジ?不意打ちなんだけど。」
悟から貰ったのは蝶のピアスだった。
Aから貰ったのは指輪だった、お揃いの。
五条「これはなんのプレゼント?」
『ん?今までありがとうと
悟はよく頑張ってるよのプレゼント。』
五条「ふっ、別れの挨拶かよ。」
『いや、
…………これからもずっと一緒にいたいよ。』
貰った指輪を撫でていると
急に静かになって見上げると涙ぐんで笑うAがいた。
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作者名:海月 | 作成日時:2023年12月25日 21時