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楓
「ちょっとお話いいですか?」
将ちゃんと話そうと決めて、連絡を取ろうとしていた時、呼び止められた。
「えっと・・・あの・・・」
直接、彼女と話したことがないから、戸惑ってしまった。
私は空いた会議室に彼女を通した。
「お話って・・・」
楓
「気づいてますよね?」
自信満々な彼女の態度に、私は将ちゃんとの関係の終わりを感じた。
楓
「はっきり言わせて頂きますけど、将吉の事、解放してくれませんか?」
解放・・・。
それは重く突き刺さった言葉。
「・・・あの・・・」
楓
「私、嫌いで将吉と別れたわけじゃないんです。
将吉が東京で夢を叶えたいからって、でも、付いて行く決断もできなくて・・・」
インストラクターとして活躍できる場があったから、彼女は一緒に上京できなかったんだろう。
楓
「でも、こっちに来るチャンスがもらえて、将吉と再会できて・・・。
もう、大切なものを失いたくないんです。
だから、将吉を返してもらえませんか?」
泣きそうな彼女の瞳。
それぐらい真剣なんだ。
きっと、将ちゃんだって・・・。
「・・・全部、聞いてるんですね・・・。」
きっと将ちゃんは彼女に、全てを話してる。
私と一緒にいなければいけない理由も。
楓
「Aさんには悪いって思ってます。
でも、どうしても気持ちを止められなくて・・・。
ごめんなさい・・・。」
深々と、私に頭を下げる楓さん。
「頭・・・上げて下さい。」
もう、耐えられない。
いつかは失うんじゃないかってわかってた。
縛り付けてはおけないって。
高木さんからの言葉でも気づいていた。
「将ちゃんが幸せになるなら、私はこれ以上、彼を縛り付けたくないです。」
本心だった。
私達のもとから去ってしまったあの子の責任をずっと背負わせたくなかった。
「ちゃんと別れますから。」
きっと、私達には限界だったんだ。
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moon(プロフ) - みほこさん» みほこさん、お久しぶりです!ほんと切なくなるようなことばっかり・・・勝手に手が動いて・・・。ごめんなさい(笑) (2016年8月2日 1時) (レス) id: 9ff8470f98 (このIDを非表示/違反報告)
moon(プロフ) - あやさん» あやさん、しばらく辛いことが続くと思います・・・。懲りずに読んでやって下さい! (2016年8月2日 1時) (レス) id: 9ff8470f98 (このIDを非表示/違反報告)
みほこ(プロフ) - そんな。。。先に将ちゃんと話さなきゃ!主人公ちゃん自分で先に決めちゃだめだよ。嘘ついて呑みにいった将ちゃんも将ちゃんだけど。。。 (2016年8月1日 2時) (レス) id: 6b3f9fe695 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 主人公も将ちゃんも情けないです(;_;) (2016年8月1日 1時) (レス) id: 6d293521e2 (このIDを非表示/違反報告)
moon(プロフ) - あやさん» あやさん、いつもありがとうございます!誰も気づいてないってとこ、しっかりしてそうでボケボケなSECOND兄さんにピッタリかなって(笑)私も書いててニヤニヤしちゃってます♪ (2016年7月30日 2時) (レス) id: 9ff8470f98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:moon | 作成日時:2016年7月28日 21時